陸自隊員が “船乗り” に 自衛隊の新設部隊「海上輸送群」とは 海自呉基地に司令部 南西諸島に人員・物資など運搬へ
艦橋のそばには、双眼鏡を使って見張りをする隊員の姿がありました。 窪田翔 2等陸曹(40) 「左、私の視界内に見える船の情報を艦長、航海長の方にこれを通じて伝達してるところです。海に出たらちょっと実戦感覚ってところが多くて、常にちょっと緊張感、陸自よりは高いなっていうふうには感じます」 制御室では、モニターに目を光らせエンジンなどの機械全般を管理します。 宮原啓 2等陸尉(28) 「陸上自衛隊のその輸送するっていうのとは、また根本的に違って、知識も必要になるし、新たに勉強も必要になるし」 船の操縦に欠かせない方位を読み取るのは、2等陸尉の 小泉春菜 さん、27歳。呉基地に着任して2年目です。 小泉春菜 2等陸尉(27) 「陸上自衛官がしっかり船を運航できるんだぞといったところを見せつけるわけではないですけど、国民の皆様に安心していただければ」 海上輸送群の要員になることを自ら志願したという小泉さん。その任務は決して容易ではありません。 こちらは4年前、沖縄県の宮古島に配備されたミサイル部隊です。この宮古島を含む南西諸島は東シナ海を挟んで中国と向き合っています。そして西の端には、中国が領海侵入を繰り返す尖閣諸島があります。 南西諸島を守ることを念頭に、防衛省は2018年、離島を奪い返すための「水陸機動団」を設けるなど抑止力を強化。さらに、こうした人員や物資などを運ぶ機能も強めようと、自衛隊海上輸送群を設けることにしたのです。有事の際には当然、危険を伴います。 小泉春菜 2等陸尉(27) 「不安な部分は挙げようと思えばたくさんあるんですけど、それに押しつぶされることのないようにしっかり1つひとつできることからしっかりやっていきたいと考えております」 青山高治 キャスター 「新しい部隊ということでやり甲斐もあるでしょうけど不安を口にしていましたね」 藤原大介 デスク 「南西諸島では、ことし9月に中国海軍の空母『遼寧』が沖縄県の与那国島と西表島の間の海域を航行するなど、中国による領海侵犯や領空侵犯が相次いでいます。こうした中で偶発的な衝突が起きる可能性も懸念されています。そうした有事の際の輸送は日本の国防の最前線にほかならないと思います」
中根夕希 キャスター 「海上輸送群は最終的にどのような体制になるのでしょうか」 藤原大介 デスク 「海上輸送群は呉基地に司令部を置いて、今年度末に2隻・およそ100人の体制で発足します。そして、人員は来年度末までに阪神基地を含めおよそ160人に、艦船は2027年度までにあわせて10隻に増える予定です。陸上自衛隊は『その後の改編の予定は検討中』としています。部隊がさらに増強されれば、『複合防衛拠点』の計画がある、日本製鉄呉地区の跡地が活用される可能性もあります」
中国放送