「何から何まで定額働かせ放題」現役高校教師が“実名顔出し”で訴える教育現場の課題...なり手不足の解決策は
■教師の現状は「何から何まで定額働かせ放題」
西村氏が特に訴えたいのは、「教師の長時間労働改善」「ブラック校則の廃止」「残業代が支払われない『給特法』の廃止・改善」だという。「小中高校の教師は持ち帰り残業を含めて月80時間以上の残業をしており、過労死ラインを超えている。死んでもおかしくない状況で働いている。何を削るかではなく、教師は何を大事にしないといけないのかを考えるべきだ」。 環境副大臣・元デジタル副大臣、衆議院議員の小林史明氏は、イギリスでは「教員が担ってはいけない業務」が明確に決まっていることを紹介し、「(日本の)教員の仕事は何かを決めて、それ以外の仕事はやってはダメだと決めないと難しい」と指摘する。 対して、西村氏は「おっしゃる通りで、日本の場合は例えば部活動、PTA関連の会計業務だ、ホームページ更新、最近だと、タブレットが学校に1人1台で配布されたが、生徒の全アカウントを先生の方でこう事務作業で振ったりなど、何から何まで定額働かせ放題だ」と訴える。 小林氏は、教育行政の問題点として、残業問題の放置、教員の多様性の欠如、学校設立の参入障壁の高さを挙げた。さらに「教員の仕事が楽にならない1番の問題は、国が決めた政策を都道府県、市町村、教育委員会と下ろしていく仕組み」だといい、「ITの端末すら市町村ごとに調達しているため、本来不要なアカウント設定の作業が教師に発生している」と述べた。
■「残業代と労働時間がリンクしていない」
小中高の教員600名におこなった、東洋経済education×ICT「給持法に関する意識調査」(2022年12月)によると、「長時間労働の常態化」「新しい教育や保護者対応など業務の肥大化」「給与面などの処遇」「休暇が取りづらい」などが挙がっている。 「給特法」について、文部科学省は「人材確保のため賃金上昇が必要」として、教職調整額を現行の4%から13%に引き上げる方針だ。一方、財務省は「やりがいの小さい業務の削減を条件」として、教職調整額を段階的に10%にすることを提案。さらに残業代の導入も検討している。 教育問題の研究・啓発活動を行う名古屋大学の内田良氏は、公立校の働き方改革が進まない理由を指摘する。「残業代と労働時間がリンクしていないため、管理職に予算がないのに違法労働させてしまうという焦りがない」のだという。 また、「公立校では違法状態ではなく合法になっている」といい、「いざ残業代を厳しく支払う方向になると、管理職が身構えてしまう。長年蓄積されてきた労働時間と賃金のリンクを抑えるシステムが、教育界には根付いている」と話す。 小林氏は「小学校段階から教科担任制を導入し、『担任は運営に専念した方がいい』という改革が進もうとしている」と説明。しかし、その一方で「根幹の問題には触れられそうにない」とも語った。 西村氏は「教員の労働時間を現状の6~7割まで下げる必要がある」。イギリスの例を引き合いに「(日本も)国がトップダウンで、これはやってはいけないと示してもらった方がいい」と訴える。これに対し、小林氏は「我々がちゃんと頑張ります」と返答した。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部