過労やパワハラで精神疾患、労災申請が過去最多170件 2023年度中国地方 認定基準の改正など影響か
過労や職場でのハラスメントなどが原因で精神疾患を発症したとして中国地方で労災を申請した件数は、2023年度に170件に上った。1983年度の統計開始以降で最多。申請が増えた背景には、精神疾患の認定基準を改め、パワハラの具体例を示したことなどがあるようだ。 【画像】中国地方の精神疾患による労災申請と支給決定の推移 23年度の県別の申請件数は広島71件▽山口21件▽岡山56件▽島根12件▽鳥取10件。山口、島根両県を除いて過去10年で最も多かった。うち、自殺は10件だった。 中国地方での精神疾患の労災申請は14年度以降、70~80件台で推移していたが、22年度に100件を超え、増加が続く。23年度の全国の申請件数も3575件で過去最多となった。 厚労省は、申請しやすさと審査の迅速性向上を目的に23年9月、精神疾患の労災認定基準を改めた。精神的な攻撃▽身体的な攻撃▽過大な要求▽過小な要求▽人間関係からの切り離し▽個の侵害―の「パワハラ6類型」などを「強い心理的負荷」の具体例として列挙。カスタマーハラスメント(カスハラ)を原因項目に追加するなどした。 申請増の理由について、広島労働局は「認定基準の改正に加え、ハラスメントが労災の原因になるという認識が広がりつつある」(労災補償課)とみる。
中国新聞社