なぜ住民の命を能登の中学生が守るのか 東日本大震災を機に13年続く中学校での津波防災活動
能登半島地震では沿岸部の広い範囲に津波の被害が及びました。石川県能登町もその一つですが、小木(おぎ)中学校では、2011年の東日本大震災をきっかけに、生徒が中心となって地域住民に津波への備えを呼びかける活動を続けてきました。 【写真を見る】なぜ住民の命を能登の中学生が守るのか 東日本大震災を機に13年続く中学校での津波防災活動 そして今回、現実に起きた津波被害。これまでの取り組みはどのように活かされたのでしょうか? 中型イカ釣り船団の拠点でもある能登町小木は、湾が入り組んだリアス式海岸を形成する九十九湾(つくもわん)の奥に位置するのどかな港町です。 しかし、元日の能登半島地震では、小木から北東へおよそ4キロ離れた白丸地区を津波が襲いました。 小木も港のある中心部は津波の被害こそ免れたものの、ひとつ隣の湾には津波が押し寄せ、道路や建物に被害が出ました。 地区の高台にある小木中学校が津波防災の教育を行うようになったきっかけは、東日本大震災があった2011年から3年間校長を務め、現在は輪島市の教育長を務める小川正さんの存在です。 小川正さん(2012年)「日中、いざ何かあった時にこの地区もそうだが高校生はこの地区にはいない。それからほとんどの方が小木地区以外の地区で職業に就いている。そうすると今、この時間に何かあった時に一番動ける立場というのは中学生」 輪島市門前町に自宅があり、2007年の能登半島地震を経験した小川さんは、小木中学校に赴任する直前に発生した東日本大震災の被害を見て、海沿いの地区で津波防災の教育に取り組む必要性を感じたと振り返ります。 小川正さん「小木に最初に赴任して、東日本大震災のあの地形と全く似たような光景。もうひとつは赴任する前にすでに中学生が東日本の皆さんに対して募金活動を本当に一生懸命やっていたという話を聞いて、これはやはり東日本大震災、そして東北の人たちのことを念頭に置きながら教育活動を展開しなければだめだろうなと」 小川さんは、津波ハザードマップや避難経路をまとめたDVDをはじめ、津波を題材としたかるたや防災寸劇を作りました。さらに避難所の体験会や津波避難訓練など、地域の住民を巻き込んださまざまな取り組みを進めました。