なぜ住民の命を能登の中学生が守るのか 東日本大震災を機に13年続く中学校での津波防災活動
日中、高校生以上の若い世代が少なくなるエリアでは、中学生こそが地域を支える存在になるとの考えは、最後に輪島中学校で教職を終えるまで変わることはありませんでした。 小川正さん「中学生は守られる側から地域の皆さんに働きかけて一緒になって率先してそういう活動を取り組む必要があるのではないかと」 そして、津波の被害が現実となった元日の能登半島地震。 かつてない激しい揺れと、押し寄せる津波の中、これまでの備えは活かされたのでしょうか? 5月10日、小木中学校の生徒たちが、停電した際でも地区の避難所までの道を照らせるペットボトル型の照明器具「ペットボタル」を道路沿いのガードレールに取り付けました。 「ペットボタル」はソーラーパネルとLED電球、センサーが一体となったもので、暗くなると自動的に点灯します。 また、余った給食用のトレーを生徒たちが再利用して作った避難所への誘導看板も設置されました。これまで10年近く続いている防災活動のひとつです。 小木中学校3年・和田悠河さん「実際にペットボタルのおかげで逃げられた人もいて、スムーズに逃げられた人もいると思うので設置して役に立ったと思った」 小木中学校3年・浦田羽菜さん「地震が起こったことは悲しいけど、準備してきたことがたくさんあるのでそれが役に立ったのはすごく嬉しいし、これからみんなで、私たちだけじゃなくて地域全体で防災活動に取り組んでいけたら」 「ペットボタル」と看板を設置した場所を示すハザードマップも、2年前に今の3年生によって作られました。 こうした活動は、能登半島地震でも活かされたといいます。 住民「(避難所で)中学生がものすごく準備とかいろんなことをしてくれたって聞いてます」 小木中学校・六反田健生教諭「中学生を中心にリーダーシップを発揮してくれて避難所の運営にあたってくれたり、地域の方々も協力して避難所の運営であったり避難活動に携わって、そういう意味では小木中学校でやっている防災教育の活動も意味のあるものだったと感じた」 地震発生の直後にはおよそ700人が避難してきた小木中学校。 生徒たちは住民の避難所への誘導や施設の運営に積極的に関わりました。 小川正さん「繰り返し継続してやってきたことによって、いざ何かあった時に自分たちも少しは地域のためにという気持ちが自然とそこに根付いていたのではないかと。もしそうであれば自分たちが取り組み始めてきたことは決して無駄ではなかったと」