衆院選の準備も「超短期決戦」…ポスター「過去のデザイン踏襲」、兵庫県は知事選と2班体制
15日公示、27日投開票の衆院選が迫り、選挙関連用品を扱う業者や各地の選挙管理委員会が大わらわだ。投開票日が新政権発足から26日後という「超短期決戦」に間に合わせるため、担当者が急ピッチで準備を進めている。
選挙用のポスターや立候補者を応援する「ため書き」などの印刷を請け負う「大槻デザイニング」(東京都中央区)。石破首相の就任翌日の2日、従業員7人が総出で「祈 必勝」と書かれたため書きを作成したり、立候補予定者の顔写真が入ったポスターをパソコンでデザインしたりと、慌ただしく作業していた。山田晃嗣社長(48)は「思っていたより投開票日が早く、時間が少ない」と話した。
同社には9月上旬以降、早期の衆院解散に備える立候補予定者から「とりあえず先にデザインだけ作ってほしい」といった相談が入り始めた。当初は11月の投開票が有力視されていたが、「27日投開票」が固まると、一気に10人超の立候補予定者からポスターなどの作成依頼が殺到したという。
選挙ポスターはデザインやキャッチフレーズを一から考えると受注から完成まで数か月かかることもあるが、今回は過去に作成したデザインを踏襲するなどして時間短縮を図っている。山田社長は「今後は新たな注文が入っても、断らざるを得ないかもしれない」と話した。
衆院選の日程決定を受け、選挙ポスター用の掲示板を手がける「北関スクリーン」(群馬県渋川市)にも県内の自治体から続々と注文が入った。掲示板は発注から完成まで約2週間かかるため、公示日に間に合うかどうかギリギリの状況だといい、野村城弘(くにひろ)会長(79)は「毎日遅くまで作業する必要があるが、間に合わせたい」と意気込む。
約77万人の有権者を抱える東京都世田谷区では、選挙事務にあたる職員の確保を急いでいる。同区は二つの選挙区に計114か所の投票所を開設し、投開票日は約1900人体制で選挙事務を行うが、現時点で約300人足りない。予備費から選挙に必要な予算を確保したのは今月3日で、ポスター掲示板の設営など60件近い民間業者との契約を急ピッチで進めている。