リオ五輪テレビ視聴率の日米格差に見える4年後の課題
リオ五輪が終わり、その総括、検証が全世界で多方面から進んでいる。興味深いのは日米で差が生まれたテレビ視聴率だ。日本では、NHKと民放で大きな差が出てしまったが、ビデオリサーチの調べでは(関東地区視聴率)、最高視聴率が、スーパー女子高校生の池江璃花子が日本新を出した女子100mバラフライの準決勝の24.1%。続くのが男子マラソンの23.7%、開会式の23.6%だった。開会式に関しては、直後のNHKのハイライト番組で、24.9%と上昇した。今大会では、競技が深夜であったり、決勝種目が早朝だったことも影響してハイライト番組が視聴率を出したのが特徴でもある。 ロンドン五輪の最高視聴率が、早朝に始まった女子サッカーの日本対アメリカとの決勝戦の29.1%で、続くのが、開会式の24.9%、男子マラソンの24.3%で、準々決勝に進出したサッカーの関塚ジャパンも、そのエジプト戦で23.9%を弾き出していた。 最高視聴率では、前大会に及ばなかったが、20%を超えた競技は、前大会の8番組から開会式を含めて10番組と増えた。女子サッカーが出場権を逃し、手倉森ジャパンが予選敗退したことや、時差が12時間ある地球の裏側で行われた五輪で、しかもロンドン五輪時とは、時差が4時間差あったことなどを差し引くと、日本のテレビ視聴率は、決して悪いとはいえなかった。 某民放テレビ局の幹部は、「生放送の時間帯がプライムタイムに当たらず30%超えはなかったが、NHKも含めて五輪全体の視聴率は悪くなかった。出しているお金が違うので、NHKが勝つのは仕方がないし、民放も局によっては成功した。過去最多となったメダルの個数にあわせるように視聴者の関心は高まったし、キャッチとなるような話題が多かった。ただ視聴者層では若い人があまり見ていず、スマホで結果を知る傾向はあった。だが、そういう視聴者をテレビにハイライトなどで誘導できていたとは思う。東京五輪は時差もなく、生放送をぶつけられるので期待が高まる数字になった」と言ってた。 一方、テレビ大国、米国でのリオ五輪視聴率は低迷した。広告業界からは「悪夢を見た」との声が挙がっている。米国三大ネットワークのひとつで、オリンピック放映権を持つNBCが、リオ五輪の中継の視聴率がロンドン五輪と比べて約15%も落ちたことを明らかにした。ロンドン五輪ではセレモニーを含む17日間の平均視聴率は17.5%だったが、リオ五輪では14.9%だった。 開催前や開会式から悪い予感はあったようだ。米国ニールセンの調査によると、リオ五輪の開会式では視聴率が16.5%。ロンドン五輪では23.0%だったから大幅にダウンしたことになる。開会式では、「CMばかりが続く」とSNSに視聴者からの不満があふれていた。 視聴率低下は、若い年代の五輪中継離れにあるようだ。 米国の広告業界専門誌アドバタイジングエイジによると、NBCの最高経営責任者であるスティーブ・バークは、6月のシンポジウムで、若い人たちの五輪中継への関心が薄れていることを懸念していたという。 バーグ氏が「彼らはフェイスブックやスナップチャットに熱中していて、オリンピックが始まっても、それを知らないでいる。だから、我々は多くの時間とエネルギーを割いて、他の年代の視聴者と同様に彼らにも気づいてもらうためにどうしたらいいのかという方法を見つけようとしている、と話していた」と報じている。