リオ五輪テレビ視聴率の日米格差に見える4年後の課題
同誌は年代別の視聴率の数字を出して事前の不安が的中したことを解説した。 18-34歳の視聴率はロンドン五輪では7.7%だったが、リオ五輪では5.3%にまで落ちこみ、視聴者の年齢の中央値は52.4歳だったという。ロンドン五輪の視聴者年齢の中央値は49.5歳。シドニー五輪では45.5歳で、米国で五輪のテレビ中継が始まった1960年以降では、視聴者層が最も高齢に偏っているという。 ただ前述したアドバタイジングエイジ誌によると、NBCは、プレスリリースにストリーミング放送(スマホでの録画放送)を見た5000万人のうち半数以上は35歳以下だったと明るい話を発表に盛り込んでいたそうだ。それでも同誌は、「ストリーミング放送は、視聴率を向上させるためにはわずかしか貢献していなかった」と同誌はつけ加えている。また、NBCでは五輪が、インスタグラムやフェイスブック、スナップチャットでは頻繁に話題に上ったことに注目したが、視聴率にはあまり貢献しなかったという。 視聴率に収入の左右される広告業界にとっても悪夢のような低迷だ。 NBCは挽回策を練っているが、あまり明るい材料はないようだ。2018年の冬季五輪は韓国の平昌で開催。そして2020年の夏季五輪は、東京五輪、2022年の冬季五輪は中国の北京とアジアでの開催が続くため、時差の問題が立ちはだかる。同誌によるとNBCの幹部は「今回は、ストリーミングプライムタイムの放送のなかで多くの消費者行動や習慣、新しい視聴者をひきつけるものは何かを学んだ。これらのデータを十分に活用し、私たちが持っているプラットフォーム全てを開発して、2018年の平昌と2020年の東京に備えたい」と発言したそうだ。 日米に視聴率格差は生まれが、この若年層が五輪中継を見ずに、スマホに依存している傾向は日本とも多少重なる。4年後の東京五輪では時差の壁が解消されるため日本での視聴率の向上は間違いないだろうが、米国で始まっている五輪中継離れの傾向には注視をしておかねばならないだろう。 すでにNHKと民放各社によるジャパンコンソーシアムは、IOCとの間で、2018年の韓国・平昌の冬季五輪と2020年の東京五輪、2022年の北京冬季五輪、2024年の開催地未定の五輪の放映権を合わせて約1100億円で購入することに合意している。今回のリオ五輪は、2年前のソチ冬季五輪と合わせて約360億円だったから、倍ちかくに跳ね上がったことになる。結局のところ、視聴率が下がろうが上がろうが、一番、いいところ取りをしているのは商売上手のIOCだけということなのだろうか。