47都道府県「教員の給与」ランキング…会社員より「月収が10万円」高くても悲鳴。戦線離脱者が激増の「キツすぎる学校現場」
都道府県別「教員の平均給与」&「教員の退職金」
せっかくなので、教員の給与をさらに深堀り。続いて、都道府県別にみていきましょう。47の都道府県のうち、最も平均給与が高いのは「東京都」。平均月収44万0,614円。「鹿児島県」「岩手県」「福島県」「兵庫県」と続きます。一方、最も給与が安いのは「石川県」で39万0,306円。「富山県」「佐賀県」「奈良県」「岐阜県」と続きます(関連記事: 『【ランキング】47都道府県「教員の給与」…〈令和5年地方公務員給与実態調査〉』 )。 【都道府県「教員の平均給与」上位5、下位5】 1位:東京都…44万0,614円 2位:鹿児島県…43万2,594円 3位:岩手県…42万6,554円 4位:福島県…42万6,462円 5位:兵庫県…42万6,193円 ---------------------------------- 43位:岐阜県…40万1,123円 44位:奈良県…39万8,211円 45位:佐賀県…39万5,119円 46位:富山県…39万2,112円 47位:石川県…39万0,306円 トップと47位では月に5万円、年間60万円ほどの給与差があります。地域によって物価などが異なるので一概に比べることはできませんが、同じ教員であっても地域によって給与差があるようです。 もうひとつ、退職金についてもみていきましょう。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、全体平均が約2,037万円(勤続35年以上の大卒者の場合)。大企業・大卒平均が約2,648万円、中小企業・大卒平均が約1,031万円です。「結構な金額をもらっていなぁ」と思うかもしれませんが、全員がもらえるわけではありません。退職金制度がある企業の割合は74.9%。つまり4人に1人は定年まで勤めても、退職金はゼロ円です。 そんななか、定年まで勤めあげた教員であれば、現行制度では必ず退職金を受け取れます。都道府県別にみていくと、全退職者の退職金平均額が最も高いのは「三重県」で2,050.7万円。「徳島県」「秋田県」「大分県」「島根県」と続きます(関連記事: 『【ランキング】47都道府県「教員の定年退職金」…〈令和5年地方公務員給与実態調査〉』 )。 一方、60歳定年退職者の平均退職金が最も高いのは「兵庫県」で2,312.8万円。「岡山県」「三重県」「静岡県」「京都府」と続きます。一方で最も安いのは「沖縄県」で2100.1万円。トップと47位で200万円ほどの差が生じています。 地域によって差はあるものの、教員は一般的なサラリーマンより「よい給与をもらっている」といえることがわかりました。そのようななか、冒頭にあるとおり、「残業代として基本給に一律上乗せしているけど、それでは足りないみたいだから、上乗せ額を引き上げよう」という動き。「上乗せされないよりもされたほうが嬉しいけれど」とどこか釈然としない顔の教員たちがいます。 文部科学省の調査によると、2023年度に精神疾患を理由に休職した公立学校の教員は7119人に達し、これは前年度から580人増加したことが明らかになりました。この数字は、1979年の統計開始以来、過去最多となります。精神疾患による休職者は全教員の0.77%を占めており、特に20代の教員ではその割合が2.11%に上ります。また休職の主な要因としては、「児童・生徒に対する指導」が26.5%、「職場の対人関係」23.6%、「学校運営や事務作業」が13.2%など。 給与の引き上げによって、過酷を極める学校現場の改革がおざなりになってしまうのではないか……教員たちの不安はさらに大きくなっています。 [参考資料] 厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』 総務省『令和5年地方公務員給与実態調査』 文部科学省『令和5年度公立学校教職員の人事行政状況調査について』