「NHKスペシャル」8000m峰・全14座を写真家として初制覇した石川直樹の足取りを追う
NHK総合で11月17日放送の「NHKスペシャル」(日曜午後9:00)では、写真家として世界の8000m峰・全14座を史上初めて制覇した石川直樹の足跡をたどる「8000mで見た生と死 ~写真家 石川直樹の記録~」をおくる。
1977年に東京都で生まれた石川は、現在47歳。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了し、人類学、民俗学などの領域に関心を持った。そして、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている写真家だ。23歳のときに七大陸最高峰登頂の最年少記録(当時)を打ち立てて話題となった人物でもある。
2001年にエベレスト(北稜・8848m)の登頂に成功し、8000m峰制覇への一歩を踏み出した石川。そして今年10月4日、最後の8000m峰・ヒマラヤ山脈のシシャパンマ(8027m)に登頂し、全14座の完全制覇を成し遂げた。これまで人力で北極から南極までを縦断し、古代の航海術を学びながら太平洋を航海するなど、五感を研ぎ澄ました旅を続けてきた石川。「自分の身体を通じて世界を知りたい」と、23年の歳月をかけてエベレスト、K2、カンチェンジュンガなど8000m峰頂上への“旅”を続けてきた。
しかし、8000mを越える山々は、酸素が地上の約3分の1と、常に命の危険にさらされるデスゾーン。登山家なら1gでも荷物を軽くして登頂に挑むが、写真家の石川はあえて重いフィルムカメラを持って過酷な登山に挑んだ。撮り直しがきかない環境がゆえ、機材をしっかりそろえることで一期一会を収めることができるからだ。
番組では今回、石川の自撮り映像や写真をもとに、14座登頂までの軌跡をたどる。ザイルを組む“相棒”だったシェルパの死、そして目の前で起きた登山史に刻まれる雪崩事故…。石川が、23年にわたり死と隣り合わせの旅を写真家としてのまなざしで記録してきたのは、“成層圏を越えて宇宙まで歩いていけそう”だと語る美しくも過酷な世界。本人撮影による貴重な映像や写真とともに、その世界を追体験する。