現代アーティストの田名網敬一が死去 享年88 新国立美術館で回顧展開催中に
「ナンズカ(NANZUKA)」所属の現代アーティスト田名網敬一が8月9日に亡くなった。享年88。今年6月に骨髄異形成症候群を患い、7月末にくも膜下出血を発症していた。葬儀は親族・関係者のみで執り行われ、後日お別れの会を開催する予定だ。 【画像】現代アーティストの田名網敬一が死去 享年88 新国立美術館で回顧展開催中に
田名網敬一は、1936年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学を卒業し、アートディレクター、実験映像、アニメーション作家、アーティストとしてジャンルを横断した創作活動を行い、若いアーティストの育成にも尽力していた。
南塚真史 NANZUKA代表取締役は「今回の国立新美術館における回顧展の開催は、田名網の夢でした。田名網は最後まで決して自身の回復を信じて疑いませんでした。田名網は生前に、自身の最近のアニメーションやペインティング作品を称して、『(自分が)死後に住む世界』だと説明をしていました。きっと、田名網の魂は、この自ら築き上げた極楽浄土で、妻や友人、そして魑魅魍魎たちと楽しく、永遠に生き続けることと思います。そして、この先田名網が心血を注いだ作品の数々が美術の歴史と皆様の心の中に生き続けることを、私も切に願っています(一部抜粋)」とコメントし、哀悼の意を表した。
田名網の大規模回顧展 “田名網敬一 記憶の冒険” は11月11日まで国立新美術館で開催中だ。 同展覧会には、橋をモチーフにした高さ約3.5メートルのインスタレーション“百橋図”が登場。奇妙な生き物たちがプロジェクションマッピングで投影され、異界への入り口のような存在感を放つ。同時に、田名網の想像する橋の向こうの世界を暗示するような新作の屏風型のコラージュ作品も展示している。 近年、田名網は橋を主題とした作品制作に取り組んでいた。田名網にとって橋は生と俗の境界であり、今生と死後の世界を隔てる存在としても表現された。