<挑む・’23センバツ>仙台育英・東北・能代松陽 戦力分析/上 仙台育英 競い合い、総合力磨く /秋田
◇堅守、攻撃力 一球の精度向上 分厚い投手陣を軸に「守り勝つ野球」で秋季東北地区大会を制した仙台育英。その後の明治神宮大会では大阪桐蔭に1点差で苦杯を喫したが、それを機に「一球の精度を高めること」を掲げ、センバツでの飛躍を誓う。 球速140キロ台後半の投手がそろう「投手王国」を引っ張るのは、昨夏の甲子園決勝マウンドに立ったエースの高橋煌稀(2年)。速球と制球力に長け、プロ野球楽天・田中将大のフォームを参考にしたという高精度の投球が武器だ。夏以降に下半身を強化して安定感が増し、直球の球威も増した。他の投手陣の成長を感じつつも「エースは譲れない」と自信をみなぎらせる。 湯田統真(同)は速球とキレのあるスライダーを織り交ぜ、東北地区大会準々決勝を無四死球で完封した。最速147キロの速球を誇る左腕の仁田陽翔(同)は緩急を自在に操り三振を取る。甲子園を経験したこの3人に次ぐ争いも激しい。 投手の個性に合わせた配球でリードする捕手の尾形樹人(同)は、昨夏もマスクをかぶった守備の要だ。1年時からスタメン出場している主将で遊撃手の山田脩也(同)を筆頭に、内外野も捕球や送球の技術が光る。バックの安定感は抜群で、相手チームに得点する隙を与えない。 もっとも、堅守だけで勝てるほど甲子園は甘くはない。須江航監督は「打力、走力、攻撃力もアップデートしたい」と力を込める。 打線の中軸を担う主砲の斎藤陽(同)は昨夏、勝負どころで一打が出る「つなぎの4番」として活躍した。冬場は筋力トレーニングに励み、打球速度を上げた。打率を維持しながら「本塁打も打てる4番打者」へと進化を遂げつつある。 俊足のリードオフマン橋本航河(同)、身長168センチと小柄だがパンチ力のある湯浅桜翼(1年)、長打力のある斎藤敏哉(2年)らの躍進もめざましい。「日本一」と自負するチーム内競争で総合力に磨きをかけ、「夏春連覇」を射程に入れる。【平家勇大】 ◇ 第95回記念選抜高校野球大会に出場する仙台育英(宮城)、東北(同)、能代松陽(秋田)の戦力や注目選手を全3回で紹介する。