主人は死ぬ必要ありましたかー 有罪判決後も被害者遺族が抱える“苦悩”の実態とは 10年来の知人に夫を刺し殺され残された幼い娘と妻 名古屋地裁
11月14日。 榊原さんの妻は「亡くなった夫の代わりに証言をしたい」と裁判に出廷し、うつむく小林元被告に語りかけました。 『はじめ、私ははじめが好きだったよ。おもしろいし、修もはじめが好きだったの知ってるし、だから困っていたら私も助けてあげたくて、お金も貸したし、施設で育ったことも知っていたから、やっと幸せな家族をもててよかったなーって思っていました。でもね、あなたが自分の家族が大事なように、修もすごく大事にしてくれていた。私たち家族も幸せだったんだよ。全部奪ったのはあなたです。私は絶対許さない』 検察は、懲役15年を求刑し、弁護側は懲役8年が妥当と主張。 小林被告: 「自分も一緒でくそ野郎で、本当に被害者家族には大変な迷惑をかけてしまって、自分の家族にも迷惑をかけてしまって、すみませんしかない。とりあえず、罪を償います」 ただ、榊原さんへの400万円ほどの借金の返済と「被害弁済」についてに話が及ぶと、弁護側は「払える金はなく、その原因は被害者にもある」と訴えました。 亡くなった榊原さんの妻: 「主人と最後に話したのは、殺される約30分前にかかってきた電話で『まだ帰るまでもうちょっとかかるから先に寝てていいよ』という一言。連絡もらった時にはもう死んじゃってたんで、もう、主人に触れることも話すこともできないし、それが本当につらいです」
◆判決は「懲役10年」
そして、11月21日。 名古屋地裁岡崎支部の水野将徳裁判長は「被告人が長年置かれてきた状況には同情できる部分があるのも確かである」などとして、懲役15年の求刑に対し、懲役10年の判決を言い渡しました。その後、小林被告は、控訴せず、刑が確定しました。 判決に納得はできない、と話す妻。 亡くなった榊原さんの妻: 「なんで人を殺して10年で出てこれるのか…」 さらに。 亡くなった榊原さんの妻: 「『損害賠償』は請求しません。民事裁判で訴えても、今の小林 被告の状態では『損害賠償』を受け取れるどころか、逆に裁判費用がかさんでしまうので…」