「右肩上がりでコンディション上げていければ」

　45分にも味方カウンターのシーンで２度の大きなフリーランで相手守備をひきつけてチャンスメイクするなど、質の高いオフザボールの動きで攻撃に次々と流れをもたらしていく。 　シュトライヒ監督がそうした堂安の走りを褒めていたことがあった。 「相手守備を押し込み、翻弄するためには深いところまで走り込む動きが必要になる。リツはそうした走りを何度も見せてくれる。チームの助けとなる動きだ」 　オリンピアコス戦の８分、CBフィリップ・リーンハルトからの浮き球パスで抜け出したプレーも秀逸だった。右利きのリーンハルトが顔をあげそうなタイミングで動き出して見事に相手守備の裏を取ると、巧みに胸トラップでシュート体勢に入れそうなグレゴリチュへパス。シュートはGKにセーブはされたが、流れるような動きでチャンスを作り出した。 　 　ピッチ上で攻守に連続でプレーをし続ける堂安の足取りはとても軽やかで、若手選手のミスにも頭をポンポンとたたいて励ますなど、心身ともに充実している様子がうかがえた。 　本人にその点について尋ねてみると、「自分的にそれほど変わったという感覚はないんですけど」と前置きしたうえで、「これを機に右肩上がりでコンディション上げていければなと思います」と答えていた。言葉によどみはない。それができる自信にあふれている。 　ELでも、リーグ戦でもここからフライブルクが勝ち進み、上位進出を狙うためには堂安の活躍が欠かせない。上り調子の堂安がフライブルクの戦績を右肩上がりへ導いてみせる。 取材・文●中野吉之伴