“井上尚弥vs中谷潤人”は実現するか? あのネリ戦を目撃した中谷本人が明かす「モンスターへの本音」 弟・拓真との統一戦を熱望する理由
井上尚弥がルイス・ネリを6回TKOで下した東京ドームの熱狂から3週間。試合を現地で目撃した中谷潤人に、“モンスター”への思いやPFP10位にランクインした現在、描く未来の話を聞いた。《NumberWebインタビュー/全2回の後編》 井上尚弥について、中谷潤人が印象に残る試合として真っ先に挙げたのは、2019年5月のエマヌエル・ロドリゲス戦。そしてもう一つが、2019年11月のドネアとの初戦だった。 【衝撃写真】「ネリの顔が大変なことに…」井上尚弥のエグい右でネリの顔面がゆがんだ決定的瞬間。「ネリがグシャリと崩れ落ちた」衝撃KOの連続写真も一気に見る(全50枚) 2回にドネアの左フックを浴び、井上は右目の上をカットし、右眼窩底骨折を負った。しかも、右目の視界はぼやけ、ドネアが二重に見える状態に陥った。
井上尚弥は、相手に弱みを一切見せない
「あのフックをもらってからのリカバリーだったり、相手に隙を与えない、相手に分からせないようにすることだったり。普通は不利な状況になったら、そういうところは出やすいと思うんです」 井上は最後まで右目の異変をドネアに悟らせず、熱戦を制した。 ボクサーは誰もが対戦相手の状況を可能な限り読み取ろうとする。中谷が意識するのはラウンド終了のゴングが鳴ったとき。対戦相手と離れる間際、「闘い」から「休憩」へと切り替わるその瞬間、相手は素の表情を見せるという。 「ラウンドが終わった瞬間は気を抜くので、(表情などに)出る選手が多いんです。ダメージの状況や感情、気持ちが出やすい。ため息をつく選手も結構います。あっ、嫌がっているな、と感じ取ることができる。そういったところを観察していますね」 世界戦のリングに上がる選手は百戦錬磨。あらゆる情報を得るため、相手を徹底的に観察する。そんな猛者たちの目をかいくぐり、井上は相手に弱みを一切見せない。トラブルがあったとしても、気づかせないようにする。それもまた井上の優れた点だと中谷は強調した。
井上戦実現には「まだやることがたくさんある」
井上の逆境や劣勢になったときの対応力。相手のペースになってから奪い返す力。ネリ戦であらためて痛感し、東京ドームを後にした。 では、中谷陣営が意識し始め、ファンの期待が高まりつつある井上尚弥戦へ、どうすればたどり着けるのだろうか。 「まだやることがたくさんあるんで、具体的にはイメージしていないですけど、統一戦だったり、大きい試合が必要だと思う。それをしっかりクリアして、評価を上げていけば見えてくるかな」 中谷の戦績は27戦全勝20KO。昨年5月、米ラスベガスでのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦では、アンドリュー・モロニー(オーストラリア)を最終12回に左のカウンターでKOした。衝撃の一撃は、米スポーツ専門局ESPNや米興行大手トップランクの年間最優秀KO賞などに選出され、世界的な評価が急速に上がってきた。 2024年4月、中谷は米老舗専門誌「ザ・リング」が選定する全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド」(PFP)で初めて10位にランクされた。ロサンゼルスと日本を行き来する中谷は「ザ・リング」の価値を分かっている。 「素直に嬉しいですね。やっぱり歴史がありますし、そういったところに名前を入れてもらうのは光栄ですね。大きい目標として、PFP1位っていうのを目指しているんで。期待値がだんだん上がってくると思うので、その期待を上回れるような、より良いパフォーマンスを、という気持ちになります」
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