【アイビーS】デビュー戦は7馬身差の完勝! 〝驚速〟ピコチャンブラック陣営が抱く期待/新人記者のトレセン日記
【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】 7月の福島芝2000メートルの新馬戦で後続馬に7馬身差をつけて勝ち上がったピコチャンブラック(牡・上原佑)。その圧倒的な強さが印象に残っている人も多いのではないでしょうか。上原佑調教師も「期待しています」と2戦目となる19日のリステッド・アイビーS(東京芝1800メートル)に自信を持って送り出します。 初戦はハナを切ってそのまま逃げ切り勝ち。ラスト2ハロンの11秒8―11秒3という加速ラップを見てもその強さは際立ちます。そんなレースぶりを上原佑調教師はどう評価するのでしょうか? 「もともと能力を感じていましたが、幼さがあって人の言うことを聞かないところがあるので不安もありました。でも、ジョッキー(石橋)が調教から乗っていて(競馬でも)変なところを見せず、能力を見せてくれたのでホッとしました」。決して〝相手に恵まれた〟というわけではなく、この馬の能力がズバぬけていることがよく分かります。 しかし、一つだけ誤算があったようで…逃げという戦法は意図したものではなかったとのこと。「デビュー戦なので馬の後ろに入れて我慢させることを覚えさせようと思ってたんですが、スピードの違いを見せましたね」と、逃げざるを得なかったのはポテンシャルの高さが要因だったようです。「脚の速いところ」が良いところと言いますが、ただ速いだけではなく「相当速い」そう。シンプルな言葉でこの馬の長所を表現してくれた上原佑師。それにプラスして「気持ちの前向きさ」もあるそうですから、デビュー戦のような勝ち方になるのは納得できます。 今回はリステッドで相手も揃いますが、1度実戦を経験して理想の展開があるのか聞いてみると「今回も自分の競馬に持っていければ。行きたい気持ちが強い馬なので、折り合いさえつけば位置取りは気にせず」とピコチャンブラックの持ち味を生かす形の競馬を望んでいました。小回りの福島から大箱の府中に替わる点には「広いコースは合うと思います。ストライドが大きいので良いと思います」と上原佑師はむしろ歓迎ムード。コース替わりもプラスに働きそうです。 圧倒的な逃げ切りを見せたことで、2戦目も人気を背負うことになりますが、上原佑師は期待を隠しません。「今回が試金石だと思いますが、調教を見ても非凡なモノがあると思っています。1回レースを経験して精神的な成長がうかがえます。楽しみですし、今はデビュー前にあった(気性面の)不安はないです」とキッパリ。数か月で成長を見せているのですから期待値はさらに上昇します。 そんな〝ピコちゃんブラック〟もまだまだ2歳。馬房にいるとまだまだ遊び盛りの甘えん坊の様子。またそれがメリハリにつながっているのかもしれません。2戦目でもライバルを置き去りにする脚の速さでみんなを驚かせてくれるのでしょうか。今から楽しみです!
栗栖 歩乃花