小芝風花「べしゃり暮らし」で挑むもの “大阪へ帰りたい”悩んだ日々も……
気持ちはっきり言える静代と、言えない叶
漫才師の静代役と、「トクサツガガガ」で演じた特撮オタクの叶役は、見た目も中身も好対照なキャラクターだ。表現の幅が広くなければこなせない。 「叶は、大好きなものに対する熱量を上げて臨みました。まわりの言葉や行動に敏感に反応してしまい『どうしよう』って戸惑うのですが、基本はどこにでもいる普通のOLを演じたかったんです。静代は、お笑いに対しても好きな人に対しても一途で、自分の気持ちもはっきり言える女の子で、言いたいことも言えないし好きなものも好きと言えない叶ちゃんとはぜんぜん違う。素の私とは、叶も静代も理解できるところは理解できるし、違うところは違うし。ただ、演じていて両方とも違和感はなく、原作の漫画から表情や雰囲気などのヒントをもらいながら演じました」 ところで、ネットの検索で“小芝風花”と入れると、検索候補ワードに“小芝風花 てへぺろ”というのが出てきた。それを話すと、小芝は「え! なんですかそれ、待って! てへぺろ? 初めて聞いたんですけど」と、爆笑。どうやら「トクサツガガガ」の第5話で、2人のイケメンに挟まれ、「てへっ、てへぺろ」と照れる妄想シーンがあったが、それがファンの間で「かわいい」と大好評を呼び、次々と検索の対象になったらしい。 「あー! 思い出しました。それ、たぶん演出の方は“てへぺろ”ってかわいい感じにしたかったと思うんですけど、私が“かわいい”ができなくて、ふざけちゃったんですよ。でもそれを採用していただけて。それが話題になったってことですね。嬉しい。わー、皆さまありがとうございます」 たわいない場面なのだが、たった一つの場面やノリで話題を持って行ってしまうのは売れる女優の片鱗を感じさせる。
家族のようなファンのあたたかさに支えられた
いよいよ波に乗ってきた感があるが、デビューしてからの約8年間、壁にぶつかったこともたくさんあったと振り返る。 「いまでも悩むことは多いです。同年代の子がどういうお芝居をしているのか、どんな役をやっているのかも気になるし、まわりと比べてへこむこともありました。中学2年のときに上京したのですが、東京のキラキラした夜景を眺めながら『大阪に帰りたい』って思ったこともありました。私って求められてるのかなー、って悩んだし、でも中途半端な状態では帰れないよなー、とも思ったし」 悩みは深かった。 「デビューしたばかりのときは右も左もわからないし、家族以外知り合いもいないし、事務所も入りたてでマネージャーさんともまだ信頼関係ができていないし、お仕事もそんなになく、インタビューしていただいても何をしゃべっていいかわからない。楽しいこともあるんですけど、不安はずっと尽きなかったですね」 力になったのは、家族や友人。やはり、まわりにいる信頼し合える人たちだった。 「母と妹と上京したので、ついてきてくれた2人に大阪へ帰りたいなんて言えないしな、って。あとは、応援してくださる方が少しずつ増えたことも大きかったです。お芝居したときに、すごく良かったよって言ってもらえたり、そういう皆さまの反応で元気をもらえて、もっと頑張ろうって。もともと負けず嫌いなところもあるので、なにも残していない状況で帰れない!っていうのがありましたね」 人々の反応といえば、現在もSNSのコメントには助けられているという。 「インスタグラムのコメントも全部読んでいますが、やさしい方が多くて、本当に泣きそうになるコメントがたくさんあって。昔から応援してくれているファンの方は、家族みたいなあたたかい言葉をくださる方もたくさんいて。私も、もっとお芝居を見てもらいたいし、いい作品をお届けしたいって気持ちになるし、めちゃくちゃ力になっています」