三井金属、レアアース総合メーカーの日本イットリウムを完全子会社化
三井金属は、連結子会社である日本イットリウム(福岡県)について、3月1日付でトーキン(宮城県)が保有する30%の株式を取得し、完全子会社化することに合意したと発表した。希土類全般に広く市場を有する日本イットリウムと、SAWフィルター用高純度タンタルやセリウム系研磨材など軽希土類を扱う同社の機能性粉体レアメタル事業との先端材料分野でのシナジー創出を図る。 日本イットリウムは、幅広い希土類を扱う日本でも数少ないレアアースの総合メーカー。1966年以来、トーキンとのパートナーシップの下、円滑な事業運営を行ってきた。同社は、高付加価値希土類の製造・マーケティングを通じて、半導体製造装置や積層セラミックコンデンサー(MLCC)などの電子材料や高性能電池材料、医療分野など、さまざまな用途分野の市場に素材を供給するだけでなく、希少なレアアースのリサイクルサプライチェーン構築に向け、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で高度な分離精製を行う溶媒抽出技術の開発にも取り組んでいる。 三井金属は銅箔事業や機能性粉体事業と並び、日本イットリウムの事業を「価値の拡大」事業の一つと位置付けており、完全子会社化によって先端材料分野でのシナジー創出を進め、新規レアアース関連技術開発のイノベーションや投資を加速させる考え。 なお、同件による2024年3月期の連結業績予想への影響はない。