「一緒に逝ってくれるか?」90歳父を殺害…承諾殺人に問われた60代息子に執行猶予判決 大阪地裁
●被告人を思う63名の嘆願書
弁護側の証拠として、罪の減軽を求める63名からの嘆願書が提出された。 その後、情状証人として被告人の弟が出廷した。被告人の理容室を月に一度利用するなど、連絡や会話は随時していた。被告人と父親で釣りに行っていることも知っていたため、両者の良好な関係性からも事件を聞いた際は、何かの間違いではないかと困惑したという。 弟は父親の介護の状況を把握していなかった。被告人の体調の変化についても、通院の予定などは聞いていたものの、それにより仕事を休んでいることは把握していなかった。相談を受けていなかったことから問題ないのだろうと判断し、被告人に負担をかけていたのではないかと後悔の言葉を残した。
●「保釈されても生きる気もなかった」
被告人質問で、まず事件についての思いを聞かれると「まさか、今ここで生きているとは思いませんでした。自分が死ぬのが前提だったので。保釈されても生きる気もなかったですが、今は多くの人に支えられ、仕事の再開を目指して生きている」と思いの内を供述した。 自身の首の病気については病院で「ただごとでないかも」と重大な病気の可能性を告げられた。しかし検査をしても原因はわからず、店の営業だけでなく、体が動かなくなるのではと不安な日々を過ごした。 弁護人「最初は一人で自殺を考えていたのに、どうして父親と心中することに」 被告人「警察からも『なんで、一人で逝かなかったんや』と言われました。しかし、少し前に私がコロナで救急搬送された際、家に戻ったら半分ボケてるような感じになって。それで、一人で残せないと思い」 弁護人「どうして生きることになったんですか」 被告人「飲んだ薬(首の痛み止め)は医師からアルコールと飲まないよう言われていました。ただ素面では行えないので、飲んでしまいました」 父親への思いを聞かれ、苦しまないようにと思っていたものの、警察からは決して楽に最期を迎えられていないと聞かされ、申し訳ない気持ちになったことを供述した。ただ、父親を巻き込んだことへの思いは供述されることはなかった。 保釈された当初は、常に自殺を考えているような状態であったが、弟をはじめ多くの人のサポートなどもあり、理容室の再建を目標にして日々生きている、と前を向いた。