農作物の鳥獣被害、過去最少の3億3937万円 広島県内2023年度 豚熱でのイノシシ減影響か
広島県内の鳥獣による農作物の2023年度の被害総額は前年度比16%減の3億3937万円となり、現行の調査方法になった07年度以降で最少だったことが県のまとめで分かった。県は伝染病の豚熱(CSF)の感染拡大などで、県内に生息するイノシシが減った影響があるとみている。 鳥獣別の被害額はイノシシが2億200万円で全体の6割を占めた。次いでシカ5500万円、カラス5200万円だった。イノシシ被害は21%減。県は豚熱の感染と捕獲数の増加による個体数減少が要因とみている。一方、シカとカラスの被害はともに6%増だった。防護柵などの対策が遅れている地域で被害が多かった。 市町別では庄原市が5千万円で最も多く、広島市4790万円▽大崎上島町3450万円▽東広島市3370万円▽世羅町3020万円―と続いた。庄原市はカラスによるリンゴへの被害が目立つ。広島市は安佐北区や安芸区でシカの被害が増えたという。 県は本年度から鳥獣被害対応の専門事業者の協力を受け、広域で対策に取り組む専門組織「tegos(テゴス)」を発足。参画する庄原市や北広島町など5市町に専門職員を配置し、被害現場での対応や農家への指導を委託している。 県は25年度までに被害総額を3億5千万円以下とすることを目標に掲げてきた。県農業技術課は「前倒して目標を達成できたが、成果を維持しなければならない。テゴスに参加する市町を増やし、被害額をさらに抑えたい」としている。
中国新聞社