ヤンキース 球数制限などの“田中ルール”が導入される?
■過去に故障した選手も引き合いに 「2、3年だけ活躍して、7年契約が終わるまでに、燃え尽きてしまうよりは、シーズン中には、1回先発を飛ばしてもいいし、スライド登板で1日多く休みを与えることもできるだろう」と、“過保護の薦め”を説く。更には、 田中の契約は、ヤ軍のFA投手では、後に殿堂入りしたキャットフィッシュ・ハンター以来の大型契約だったと位置づけ、当時のビリー・マーチン監督が、中継ぎを余り起用しないタイプだったために酷使され、わずか、33歳で引退した例などを引き合いに出し、「ブルペンの投入を早めることも、田中を守る方法だ」とまで提案している。 22日に入団が決定した際、電話会見に応じたキャッシュマンGMも「ある程度のリスクがあるのは、十分に承知している」と語ったばかり。162億円という大金を叩いた投資だけに、故障による長期戦列離脱だけは避けたいところだ。 ■松坂入団時にも"投げ過ぎ"に神経を尖らせる それだけに球団だけでなくメディアも含め、ファンまでが、“大事な宝を壊さないでくれ”と、その起用法について躍起になって議論をしている。田中を取り巻く状況は、2007年のレッドソックス・松坂大輔投手と似ている。当時、入札金を含めて1億ドル(約104億円)を越える投資をしたレッドソックスは、入団初年度からキャッチボールでも球数を制限するなど、“投げ過ぎ”からくる故障勃発には神経を尖らせていた。ところが、松坂は、基本的に投げ込みを大事にするタイプで、調整方法を巡って球団首脳陣と意見が合わないことが多々あった。 どこか、少しでも違和感を口にすれば、たちどころにノースローを命じられたほか、試合どころか、キャッチボールの球数まで制限されて、ストレスに感じることもあったようだ。せっかくの周囲の気配りが逆効果となってしまっては何の意味もない。 おそらく、これらのメディアが書いている“田中ルール”は、なんらかの形でキャンプから発動されるだろう。田中に必要なのは、そこで球数制限などのルールをストレスとせず、球団首脳と巧くコミュニケーションを図って、メジャーでの自分の調整を確立させることだろう。 そして、球数を投げすぎることなく(球団を心配させることなく)、6回3失点のクオリティースタートを重ねて、100球前後で勝ち星がつくピッチングスタイルを確立することが、メジャーで成功する秘訣となるのではないだろうか。