カカオ原産地で横行する児童労働、「ブラックサンダー」は撤廃目指し調達先を変更 日本のチョコ会社で進む現地の農業支援と環境改善
白木氏はその上で消費者の関心の高まりも必要だと語る。「社会がサステナブルな方向につながるような商品選択をするのは大前提。そうした行動を個人レベルでやって満足するのではなく、そういう人たちが増えていくなり、『もっとできることがある』と企業に訴えかけられるようになれば」。 現地で問題なのは実は児童労働だけではない。カカオを生産するためのプランテーションは森林破壊の大きな原因になっている。西アフリカでは世界のカカオの4分の3近くが生産されているが、コートジボワールとガーナではこの60年間で森林がそれぞれ94%、80%減少したというデータもある。それらの約3分の1がカカオ栽培のために失われたとみられている。原生林の消失は、ゴリラやチンパンジーなどの生息地を奪うことにもなる。 世界チョコレート成績表のコーディネーターを務めたオーストラリアの人権団体代表のファズ・キット氏は「最近、コートジボワールを訪れた時、ブルドーザーが稼働し、手つかずの森林を伐採してカカオのプランテーションを作ろうとしていた」と指摘する。成績表で日本企業は児童労働問題には積極的に取り組んでいると評価されるようになってきたが、その他の課題への取り組みについては評価が低い傾向があり、環境対策も急務だ。