国家資格「登録日本語教員」導入の背景は? 教員の“質”と“待遇”は向上する?
11月17日、新しくできた国家資格である「登録日本語教員」を取得するための筆記試験が初めて実施された。 【映像】あなたは解ける?「登録日本語教員」の試験問題 「登録日本語教員」とはいったいどんな制度なのか? テレビ朝日社会部の生田目剛記者に聞いた。 ━━「登録日本語教員」とはどういった制度なのか? 「2024年4月に導入された新しい国家資格(制度)だ。日本語を母語としない外国人などに日本語を教える際の基準をより統一して日本語教員を認定する仕組みで、より質の高い日本語教育を提供することを狙いとしている」 ━━これまで日本語教師には国家資格がなかった? 「これまでは日本語を教えるのに公的な資格は必要なく、民間資格のみだった。今回の国家資格化によって、国が認めた日本語教育機関で日本語教師として働くためにはこの資格が必要になる」 ━━今回、それが導入された背景は? 「日本で生活する外国人の増加がある。法務省によると、10年前は約200万人超いた在留外国人は去年末の調査では340万人を超えている。外国人労働者や留学生をはじめ、日本語を学びたいという日本語教育への需要が高まっているが、その一方で教える側の日本語教師が足りない、加えて高齢化が進んでいるという状況になっている。また、教える側の“質”を統一する基準が曖昧なのでは、という問題点も指摘されていた」 ━━「登録日本語教員」の資格を取るためにはどうすればいいのか? 「大きく2つのステップがある。まずは『日本語教員試験』に合格すること。この試験では、日本語教育における知識や日本語の運用能力が問われる。次に、試験合格後に一定の研修(教育実習)を受けること。この研修(教育実習)では、実際の指導スキルや生徒(学生)とのコミュニケーション力などを身につける。研修期間は数週間から数カ月程度とされている。現場での実習を通じて、実践的なスキルを学ぶ」 ━━試験ではどんな問題が出題される? 「基礎試験と応用試験に分かれていて、すべて筆記試験(マークテスト)だ。応用試験では聴解試験(リスニング)がある。基礎試験は8割以上、応用は6割以上が必要(年度や問題によって合格基準を調整することもあり)」 ━━この制度によってどんな変化があるのか? 「日本語教師の社会的地位が向上すると考えられる。知名度の低さなどから慢性的な人手不足や高齢化が進んでいるが、職業として希望する人が増えるのではないかと期待されている。また、信頼性のある資格を持つ教師が増えることで、日本国内外での日本語教育の質が向上し、留学生も安定して充実した日本語教育を受けられるようになることも期待されている。現在は非常勤講師が多く、アルバイトと掛け持ちで生計を立てている人も多いが、社会的地位が向上すれば雇い主の意識も変わって処遇が改善されるかもしれない」 ━━一方で制度の課題は? 「試験や研修を受けるための負担が増える点が指摘されている。特に、既存の日本語教師の中には、再度試験や研修を受ける必要がある人もいる」 ━━試験は、年に何回とか決められているのか? 「今年は1回行われたが、来年度以降はCBT化(PCなどの端末を用いて実施する試験方式)による簡素化なども含めて検討中だ。先日行われた結果は来月12月20日に合格発表がある」 (ABEMA/倍速ニュース)
ABEMA TIMES編集部