ANA、ピーチを完全子会社化 独自性維持に注目
ANAホールディングス(ANAHD、9202)は12月20日、傘下のLCC(低コスト航空会社)であるピーチ・アビエーション(APJ/MM)の株式を全株取得したと発表した。今後成長が 期待できるピーチを完全子会社化することで、インバウンド(訪日)需要のさらなる取り込みを図る。一方、好調なピーチの独自性が維持されるかが注目される。 【写真】ピーチの関西-シンガポール線初便の機内 直近の持株比率は、ANAHDが93.0%、就航当時大株主だった香港の投資会社ファースト・イースタン・アビエーション・ホールディングスが7.0%。ファースト・イースタンは段階的に売却しており、今回の売却でピーチはANAHDの100%子会社になった。 ピーチは2011年2月10日にA&F Aviationとして設立され、同年5月24日に現社名に変更。2012年3月1日に就航した。ANAHDは2017年にピーチを連結子会社化し、同じく傘下のLCC、バニラエアを2019年11月に統合した。 2022年12月27日には、初の中距離国際線となる関西-バンコク(スワンナプーム)線を、シートピッチが既存機より広い最新機材エアバスA321LR(1クラス218席)で開設。今月4日には、関西-シンガポール線を開設し、東南アジアで訪日需要が見込まれる2都市への就航を果たした。 ANAHDは「これまでピーチが築き上げてきた企業文化やブランドの強みを活かし、アジアを代表するLCCを目指すピーチをサポートするとともに、ピーチとANAグループ各社との連携、協業を更に深め、『エアライン事業領域の拡大』と『事業性の更なる向上』をはかりANAグループの企業価値向上を目指してまいります」とコメントしている。 今後は2017年の連結子会社化時にANAHDの片野坂真哉社長(当時)が言及した、「ピーチの独自性」をどれだけ維持できるかが、これまでの好調を維持し、ANAグループとしてシナジーを最大化できるかに直結していくとみられ、ANAHD側の出方が注目される。
Tadayuki YOSHIKAWA