箱根駅伝 本命駒大を倒すのは?
では、他の大学が駒大に勝つとしたらどんな展開に持ち込むべきか。全日本王者を追いかける4校の戦略を予測してみたい。 連覇を目指す東洋大は、箱根の戦いが非常に巧みなチームだ。09年の初優勝以降、箱根はすべて1位か2位でフィニッシュ。4位に終わった全日本では、箱根を見据えて不慣れな区間をテストさせるなど、酒井俊幸監督は箱根で勝つための戦略を練っている。30kmで日本学生記録(1時間28分52秒)を保持する服部勇馬が2区に入り、その前後には服部勇馬の弟・弾馬、キャプテンの田口雅也など主力をつぎ込むのが濃厚。2月の東京マラソンに向けてトレーニングをしている3年生エースが2区で駒大を撃ち落とすことができれば、3区は有利な展開になる。2区候補の服部勇は「1時間7分20秒以内では走りたい」と話す一方で、酒井監督は「1時間6分台で走ってほしい」と期待する。東洋大が駒大に先行するとしたら、2区での“エース対決”が有利に転がるかもしれない。 駒大・村山は「日本人最高記録を目指したい」と三代直樹(順大)が99年に出した1時間6分46秒を上回るつもりでいる。今回も高速ラップを刻んで、ぶっ飛ばすだろう。ただし、前回(2区1時間8分27秒)のようにレース終盤で太腿ケイレンを起こさないとは限らない。反対にマラソン練習をしている服部は前半のスピードで村山に押し切られても、終盤に盛り返すことができる。村山が1時間8分台に落ち着き、服部が1時間7分前後で走ることになれば、東洋大が2区で1分近いリードを奪う計算になるのだ。 4区には前回の経験者・今井憲久(区間3位)がいて、5区も「1時間20分前後では走れる」と酒井監督は話している。前回、エース設楽啓太(現・コニカミノルタ)が1時間19分16秒(区間トップ)で駆け上がった5区を1時間20分前後でカバーできれば、駒大・馬場といえども詰め寄ることは難しい。そして、前回区間賞の高久龍が8区に残っていれば、逆に駒大を突き放すことができる。 全日本で過去最高の2位と3位に入っている明大と青学大は各種目の平均タイムでも上位につけており、駒大に近い選手層を持つ。駒大・大八木監督も「流れに乗られたら怖い」と、その戦力を警戒している。近年、学生駅伝で大躍進を見せる両校は新ブランド校ともいえるチームだが、箱根での戦略はちょっと異なる。 明大は有村優樹や大六野秀畝といった強い世代が最終学年を迎え、戦力は過去最高レベル。特筆すべきは、大六野が全日本の8区(最長区間)で、区間賞を獲得するなど、エースとして頼れる存在になったことだろう。前回の箱根では、1区文元慧が4位で滑り出し、2区大六野が区間5位だった。今回は1区のスペシャリスト文元で好位置につけて、2区の大六野がトップ争いを演じることができればおもしろい。5区と6区は未知数な部分になるが、3区と4区は、有村、山田速人、横手健、木村慎などの実力者を配置することも可能だ。3区までにトップを奪い、4区で駒大を引き離すという理想の展開に持ち込みたい。