箱根駅伝 本命駒大を倒すのは?
青学大は「5区に一色か神野を起用したい」と原晋監督が大胆な戦術を口にしている。前回1区(6位)の一色恭志、同2区(6位)の神野大地。エース級のひとりを5区にコンバートするというのだ。2年生の一色は11月24日の国際千葉駅伝1区で村山謙太(駒大)に先着したスピードランナーで、神野が5区にまわった場合は2区を務めることが有力だ。2012年の出雲駅伝(3区)で鮮烈な快走を見せた久保田和真の復活も大きい。全日本2区で区間3位と好走した後、11月23日の関東学連1万m記録挑戦競技会で28分30秒78の自己新をマークしている。3、4、7区あたりの登場が予想される久保田の存在は駒大にとって不気味だろう。また、関東学連1万m記録挑戦競技会では藤川拓也が28分20秒31で走り、一色から「青学大記録」を奪い返した。主将の藤川は復路のエース区間に配置予定(前回は9区3位)。思惑通り、5区で猛追できれば、復路でも駒大を苦しめることができる。 早大は全日本で7位に沈んだが、箱根での戦いが非常にフィットするチームだ。ハーフマラソンの平均タイムは2位につけるなど長い距離が得意で、2、5、6区という箱根特有の区間で実績を残している選手もいる。前回2区で区間賞をさらった高田康暉は、11月16日の上尾ハーフで1年前の記録を36秒上回る好タイム(1時間2分02秒)で優勝。「今回も2区で区間賞を奪いにいく気持ちは変わりません。駒大・村山さんが相手でも食らい付いて、食らい付いて、攻めていきたい」と話す。5区には前回は故障のため欠場したが、前々回まで2年連続区間3位で上っている山本修平がいて、6区には前回区間歴代7位の58分51秒で駆け下りた三浦雅裕がスタンバイ。今年度限りでの退任を表明している渡辺康幸駅伝監督は、「狙うは総合優勝。そのためには往路をトップで折り返したい」と往路での戦いをポイントに挙げている。選手層の厚いチームだけに、3年生エース高田が花の2区で再び快走することができれば、「山」で駒大を逆転して、逃げ切るというレース運びも見えてくるだろう。 ダントツV候補の駒大と、全日本王者を包囲する東洋大、明大、青学大、早大。どんな戦略を持って正月の舞台に挑むのか。区間エントリーは12月29日。箱根決戦を制するためのレースプランは、現在、指揮官たちの頭のなかをグルグルと駆けめぐっている──。 (文責・酒井政人/スポーツライター)