箱根駅伝 本命駒大を倒すのは?
正月に行われる箱根駅伝。2015年のV候補は全日本大学駅伝(以後、全日本)を圧勝した駒大になる。しかも、ぶっちぎりの大本命だ。その駒大を前回覇者の東洋大、全日本2位の明大、同3位の青学大、ポイント区間が強力な早大の4校が追いかける展開になるだろう。近年は「戦国駅伝」と呼ばれるほど、数校が優勝候補に挙げられたきたが、これだけ勢力図がハッキリしているのは久しぶりだ。まずは駒大がどれだけ強くて、なぜ有利なのかを説明したい。 11月の全日本を制した駒大は、4連覇を1区村山謙太から一度も首位を譲らない“完全優勝”で飾っている。1~7区までは区間2位以内という抜群の安定感。7区が終わって後続に4分30秒近い大差をつけて、8区アンカーは安全運転で走らせている。戦力的にも前回2位の箱根メンバーが8人残っており、登録選手上位10人の平均タイムでは5千m、1万m、ハーフマラソンのすべてでトップ。誰が見ても、駒大がダントツの優勝候補ということがわかるだろう。 駒大の強さはデータ上だけではない。「エース」「山」「ルーキー」の充実も大きなポイントになる。エースの村山謙太は陸上関係者が“学生ナンバー1”と認めるランナーで、その村山の区間で他大学を突き放すことが計算できる。しかも大八木弘明監督は「村山を1区に起用してもおもしろい」と話しており、ライバル校を慌てさせている。もし1区に村山が入れば、区間記録を上回るような高速レースは必至。レースが始まる前から、駒大に“主導権”がある状態なのだ。 山には前回経験者の馬場翔大(5区3位)と西澤佳洋(6区5位)が控えているのもアドバンテージだ。前回はともに初出場だったが、今季はさらに力をつけており、前回以上の好走が期待できる。そして、11月16日の上尾ハーフでは工藤有生がジュニア日本歴代3位(1時間02分18秒)となる好タイムをマークした。今季の学生長距離界には、スーパールーキーと呼べるような選手は出てこなかったが、V候補・駒大に大きな可能性を秘めるホープが加わったのだ。 「1~3区に主力を起用して、主導権を握りたい」と大八木監督は、村山、中村匠吾、中谷圭佑らを序盤に起用することを示唆している。エース村山の区間でリードを奪い、山でもライバル校を近づけない。あとは豊富な戦力で悠々と逃げ切る。それが駒大の目指す継走だ。近年は箱根で負け続けてきたが、7年ぶり7回目の総合優勝に不安要素はほとんどない。 しかし、スポーツの世界は絶対的な存在が敗れることもある。箱根駅伝でも過去に、ダークホースが勝った大会が何度もあった。06年大会ではトップを走っていた順大が8区でフラフラになるなど、上位校が自滅。全日本で11位だった亜細亜大が優勝をさらっている。駅伝は“流れ”が重要なため、小さなミスが大きな差につながることもある。