「20度の1分シャワー」で体脂肪率5%減少する事例も 医師が考案した糖尿病や高血圧にも効果がある方法
免疫力と基礎代謝量を高める「寒冷刺激」
加齢とともに減少する褐色脂肪細胞をいかにして活性化させるか。これはCOOLアタックの有効性を証明するためにも重要なことでした。その仕組みを調べていくうちに、答えを見つけました。褐色脂肪細胞の活性化には、交感神経が関わっていたのです。 「寒冷刺激が脳の中枢を介して交感神経を刺激したことで、褐色脂肪細胞が活性化され、熱産生が起こる」という研究報告をはじめ、交感神経から分泌される神経伝達物質(ノリエピネフリン)が、褐色脂肪細胞を活性化させるという研究報告が多数出てきました。そこで、交感神経をはたらかせるCOOLアタックの優位性を確信しました。 それならば、誰もが実践しやすく、続けやすい方法を……と考え、自分自身の実体験に基づいてたどり着いたのが、免疫や代謝アップにはたらきかけるCOOLアタックです。
COOLアタックの具体的な実践方法
COOLアタックのやり方は、水温20度前後のシャワーを、首から肩周辺に、20秒×3回(合計1分)当てます(動脈硬化性疾患を持っている方、高齢の方は要注意、実践する場合は医師に相談すること。体調が悪いときは控える)。 30秒×2回でも、1回で1分間続けてもよいのですが、この1分間という数字は、寒冷刺激による褐色脂肪細胞の活性化についての医学論文(Physiological.Reviews.2004;84:277-359)にある、「1分弱の寒中水泳が、ノルエピネフリン濃度を上昇させる」という記載が決め手となりました。 COOLアタックは、私たちの体にある約37兆個もの細胞の中でも、特にがんや感染症などに抵抗する免疫細胞と、基礎代謝に関わる褐色脂肪細胞にはたらきかけることで健康効果を得ようというもの。医学論文の中には、「20度の冷水で5~7分、1日2回刺激する」というものもあり、必ずしも極端に冷たい刺激を与えているわけではありませんでした。ですからサウナの水風呂のようにキンキンに冷えた水に浸かったり、冷たいプールで何十分も泳いだりする必要はないと考えました。 そこで、「冷たさを感じる」ことができればいいという観点から、効率的に健康効果を得られる方法を導こうと思い、「蛇口をひねって出た20度前後のシャワーの水を、20秒×3回かける」という方法に行き着いたのです。 シャワーを首から肩周辺に当てるのは、褐色脂肪細胞が存在し、感受性が高い部分だからです。気温が高い時期などでも「冷たい」と感じやすいのです。ただ、ほかの部位でも「冷たい」と感じられれば、交感神経がはたらき、細胞は活性化するので、肩から背中周辺にかけるのに心配や抵抗のある人は、ほかの部位に当ててもかまいません。 また、水温も20度前後としていますが、やってみて冷たすぎて続けられないようでしたら、水温を高めてください。体温より低い温度であれば多少「冷たいなあ」と感じられるはずです。通常、40度前後の水温でシャワーや入浴をしていると思いますので、体温より低い温度にするには、少し下げるくらいの調整です。ヒートショックなど体に不安がある人も、こうした無理のないところから徐々に取り入れてみてはいかがでしょうか。 20秒はゆっくりとした深呼吸を3~4回行うくらいの長さですが、これも必ず20秒でなくてかまいません。もう少し短くして回数を多くし、合計1分程度にするなど、自身で工夫してもいいでしょう。 COOLアタックの基本のやり方では、冷たさを軽減するために水シャワーの前に体を温めていますが、それも必須ではありません。体を温めずに水シャワーから始めてもかまいませんし、体を温める場合でも湯船に浸からずに温かいシャワーですませてもいいでしょう。とにかく合計1分を目安とし、気持ちよく続けられるようにアレンジしてみてください。