カギはEVにあり? イマドキのクルマはここが重要! 「乗り心地」はこの先どこまでよくなる?【10年前の再録記事プレイバック】
クルマにまつわるさまざまな限界をとことん探る2013年の本誌企画から、「乗り心地」の限界を巡る考察をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年8月10日号に掲載した記事の再録版となります) 【画像ギャラリー】カギはEVにあり?イマドキのクルマはここが重要!「乗り心地」はこの先どこまでよくなる?(2枚) 文:国沢光宏、渡辺陽一郎、編集部
■乗り心地の「基準」には様々ある
そもそも乗り心地とはいったい何を指すのだろうか。 一般的には広義ではクルマの振動や騒音、採光に照明、換気や温度に湿度、座り心地といったものに関係する快適さが考えられる。 また、狭義ではクルマの走行中にドライバーや助手席、そして後部席に座った人間が受ける慣性力や遠心力、重力といった部分での快適さもある。 さまざまな要素のなかで、基本的には「振動」に関する快適さがその評価の主軸となるのは間違いない。 走行中のクルマには実に多くの可動パーツや回転パーツが存在し、振動の原因となっている。発生した振動は各パーツに伝達されて周波数によって減衰されたり、増幅されたりする。 これらが共振現象を起こすとより激しい振動が生まれてくるワケだ。 で、実際に評価する側の主観が入り込む問題なので難しい評価項目ではあるが、乗り心地に果たして限界はあるのか? 現行車のなかで乗り心地のいいクルマを挙げてもらい、その限界を探ってみることにした。ここでは自動車評論家ふたりの見解を聞いてみよう。
■国沢光宏の見解
世界で一番乗り心地がいいのはロールスロイスのファントムである。バネ下の動きがほとんど車体に伝わってこないという、信じられないような乗り心地でございます。大きな目地が連続する西湘バイパスだって余裕でこなすから驚く。 ベントレーのフライングスパーも文句なし。ファントムより少し減衰量あって高い速度域でもキッチリ車体の動きをコントロールしている。すばらしい! 高いクルマばかりじゃね~かよ!というならVWゴルフVIIをプッシュしておきましょう。249万円のクルマとして考えれば世界一(セミトレを使うベーシックグレードも乗り心地は文句なし)。 こいつと勝負できる唯一の日本車は前期型のリーフだったけれど、後期型になって少し"トゲ"ができてしまった。なぜか違うダンパーに変更されたのだ。現行リーフだと3位までにゃ入らんです。 困ったことに国産車は1位から3位まで横並び。一長一短あるから順位をつけにくい。並べると、レクサスGSの標準とプレマシー、スイフトRSとなる。 この3車種はさまざまな路面でバランスのいい乗り心地を見せるのだった(レクサスISなど平坦路だけいい、という一点豪華主義のクルマはいくつかある)。 このなかで強いて順位をつけるなら安い順にしておきましょう。スイフトRSは軽量さからくる乗り心地のよさ、プレマシーは全体のバランスのよさ、レクサスGSのみダンパーも日本製だけど質感よし。次点はインプレッサにしておく。 やはり国産車が乗り心地の限界を突き詰めていくためにはよりいいショックアブソーバ、ダンパーを使う必要がある。