鉄道会社が続々参入「eスポーツ」狙いはどこに? 大手私鉄やJR、大会開催や体験施設など開設
つまりこれは難波地域の活性化対策だろうと私は思っていた。2031年度目標で地下鉄なにわ筋線が開業すると、関空連絡特急と空港急行は新大阪発着となり、難波は通過点となってしまう。難波に降りてもらうためには、難波を今まで以上に盛り上げる必要がある。 2022年に南海はeスタジアムなんばの事業を承継し、新会社として「e スタジアム」を設立した。次の展開が泉佐野市との協業だ。同年8月に高校生を対象とした「eスポーツ合宿」を開催し、11月にりんくうタウン駅隣接の商業施設「りんくうバビリオ」に「eスタジアム泉佐野」を設置。市民は無料で利用でき、高校生向けの合宿「eスポーツキャンプ」など積極的に競技会やイベントを実施している。
南海にとってeスポーツは単なる「難波地域活性化」ではないようだ。eスポーツに取り組む理由について聞いた。 「理由は、南海電鉄グループのこれまでの歩みにあります。南海電鉄は、戦後5年後には大阪スタヂアム設立。街の復興に並行して、野球文化の醸成とともに青少年の健全な育成に寄与してきた歴史があります。そして今再び、そのDNAを受け継いだ事業として取り組み始めたのが“eスポーツ”です」(広報担当者) なんと、プロ野球チーム「南海ホークス(現ソフトバンクホークス)」を育てた南海電鉄の精神が引き継がれていた。
南海は中期経営計画のなかで、公共交通事業、まちづくり・不動産事業に次ぐ第3の柱として新規事業に取り組んでいる。この新規事業の枠の中にeスポーツ事業がある。沿線の価値を上げるためだけではなく、eスポーツそのものに事業の可能性を見出している。 ■JR東日本:池袋に大型拠点を開設 JR東日本の関連会社「JR東日本スポーツ」は2021年に松戸駅コンコースに常設施設として「Jexer e-sports station 松戸駅店」を開店した。Jexerは駅構内や駅ビルを中心にフィットネスクラブを運営している会社だ。