福岡のベーカリー「パンストック」がすごい理由
この場所に店を構えて14年。今でも開店前には焼き立てを求めて長蛇の列ができる。口に入れるとハッとさせられる味と食感。最先端の製法を駆使して素材のポテンシャルを最大に引きだしたパンは誰にも食べやすい。「作り方は複雑でもおいしさはストレートに感じてもらえるよう心がけています」。この思いが詰まったパンだからこそ、多くの人に支持されているのかもしれない。そして今もひとつ上のおいしさを求めて試作を重ね、なぜ? の答えを探し続けている平山さん。その探究心は止まることがない。 店を訪れる人はみんな目を輝かせて商品を選ぶ。そしてトレーはすぐにパンでいっぱいに。
“チームパンストック” が夢中になるものが次の製パントレンドになる?!
「パンストック」ではシェフの平山さんだけでなく、ベイカーチームのスタッフが一丸となって意見を出して新しい製法を考える。今、平山さんをはじめ、チームで試作を重ねているのが生地を卵でこねること。「従来のブリオッシュとも違うんですよ」と平山さん。みんなが驚く製法が誕生する日も近いかもしれない。
粉をゲル状に。生地に合わせて使い分ける
小麦粉や米粉などに5~6倍の水分を加えて65℃前後まで加熱して粉をゲル状にする通称 “湯ゲル” 。今では定番製法だが「パンストック」では10年くらい前からパン作りに活用。主に生地をこねるときに加える。上から時計回りに湯ゲル、オートミールを牛乳で炊いたオートミールゲルに米粉を炊いた米ゲル。
キラッと光る “つや” が重要! 水分をたっぷり蓄えた高加水の生地作り
生地に水をたくさん入れると口溶けのいいパンに焼き上がるが、組織が弱く生地が潰れやすいので形が悪く焼き上がることも。「組織が潰れるか否か。その不安定さにおいしさが宿ると思っています」と平山さん。発酵を終えてしっかり水分を含んだ生地はキラッとつややか。さらに焼き上がりも生地に水分が残り、断面もうるっとしてみずみずしい。 しっかり発酵させ焼き上げた「パンストック」は驚異のもちもち食感。