豊洲開場日決める協議会が中止 小池知事「江東区の理解得られるよう努力」
東京都の築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、開場日の決定が予定されていた都と市場関係者の「新市場建設協議会」が中止されたことを受け、小池百合子知事は10日の定例会見で、「できるだけ早く協議会を開催できるようお願いをしたい」と述べた。
江東区長「受け入れ再考も」と反発
6日に開かれた同協議会では、2018年10月中旬に豊洲市場を開場する方針で都と市場業界の代表者らが合意。市場業界内の意見取りまとめを経て、10日の協議会で豊洲市場の開場日を決定する運びだった。 しかしこれと同じ日に、江東区の山崎孝明区長が「都との協議で、土壌汚染対策、地下鉄8号線の延伸を含む交通対策、商業・観光施設の整備の確実な履行を求め続けてきたが、1つも履行されていない」「商業・観光施設の整備が確定しない限り、市場の受け入れを再考せざるを得ない」とのコメントを発表したことで状況が一変。都の中央卸売市場によると、江東区の反発に加え、業界内の意見も現時点でまとまっていないとして、開催前日の9日午後に協議会の中止が決まったという。今後の会合予定は決まっていない。 豊洲に整備されることになっていた商業・観光施設「千客万来」は、運営会社が都の築地再開発構想に懸念を示し、撤退も含めて検討する方針を示している。 小池知事は「都としては、業界団体や江東区とさまざまな意見交換、十分な調整を進めている最中だが、業界団体にも丁寧に対応し、できるだけ早く協議会を開催できるようお願いをしたい」と期待。江東区に対しては「特に商業・観光施設は(豊洲市場の)開場に向けてタイミングを合わせたいというのが江東区の気持ちなのだろう」と推察し、「市場移転については地元江東区の理解、協力が必要」と理解が得られるよう努める考えを示した。 豊洲市場の開場日をめぐっては、水産仲卸業者の女性らで構成する「築地女将さん会」が7日、東京魚市場卸協同組合の早山(はやま)豊理事長宛てに全組合員による投票を求める署名を始めた。9日現在で組合事業者約530中、204事業者の署名が集まったという。会長の山口タイさんは10日午前の会見で「われわれは合意していない」と憤った。 (取材・文:具志堅浩二)