中村憲剛&佐藤寿人が「GK問題」に見る世代交代の必要性「パリ経由でひとりでも多くA代表へ」
── そんななか、今年はワールドカップのアジア2次予選が行なわれ、9月からは最終予選もスタートします。出場枠が「8.5」に拡大したことで、さほど突破は難しくないと思われていますが、予選を戦う日本に対してどのような部分を期待しますか。 憲剛 難しいんですよね。世界で勝つための戦いと、アジアでのそれとをリンクさせるのが難しいと僕は思っていて。世界では日本相手にベタ引きしてくる相手はそこまでいないけど、アジアではそういう相手と常に戦わないといけない。 そうなると、求められることが変わるんですよね。もちろん、今年はアジアで勝つことがテーマになるんですけど、その先を考えれば、それだけを求めるわけにはいかないですから。 寿人 間違いなくアジアカップと同じように、相手は日本が困るような戦い方をしてくるはずです。そこへの対応策は身につけていかなければいけないですよね。 一方で、ワールドカップ優勝という目標を掲げている以上は、いろんな引き出しを増やさないといけない。相手が守備的だろうが、逆にボールを持てない戦いになろうが、状況に応じた対応力が必要になると思います。 それと、今年はパリオリンピックの年なので、オリンピックを経験した選手たちがひとりでも多くA代表に食い込んできてほしい。「世代交代」とまでは言わないですけど、チームのサイクルを考えたら、底上げは絶対に必要になってきますから。 僕らの時は「アテネ経由、ドイツ行き」って言われていましたけど、どれだけの選手がパリオリンピックを経由してA代表まで上り詰めてくるか。今年の注目ポイントのひとつだと思います。 (後編につづく) ◆第19回・後編>>「ヴェルディを見ていると、フロンターレが昇格した時のことを思い出す」 【profile】中村憲剛(なかむら・けんご)1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。 佐藤寿人(さとう・ひさと)1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。
原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei