ロッククライミングを初体験したインドア派記者 「アークテリクス」の原点、ハーネスに触れる
無事に帰還すると、ガイドさんや一緒に体験していたメディア関係のみなさんが拍手で迎えてくれました。これはクライミング界のカルチャーで、誰かが完登した時や帰ってきた時は、拍手で称えるのだそう。温かなリアクションに、達成感もひとしおです。
進むも地獄、退くも地獄
ワイルドな闘争心が蘇る
その後、さらに高さのある大きな岩にも登ることに。来るまでに山道を10分登っているので、標高も高いのですが、登り進めるにつれてどんどん高さが増してきます。振り返ったら怯んでしまうと思い、目の前の岩壁だけを見つめて登ることに決めました。
そうこうしていると、足をかけられそうなところが見つからず、進むも地獄、退くも地獄の状態になってしまいました。高さもなかなかあるので、絶対後ろを振り返ってはいけない。「落ち着いて、周りを見てみて!」と、ガイドさんの頼もしい声が聞こえるも、全然落ち着けるはずがない。こうなると焦る一方です。
そんな私の真横を別グループの60~70代くらいと思しき女性が楽々と登っていきます。岩の上でずっとひとりぼっちだったので心細く、誰かと話したくて「すごいですね」と声をかけると、女性は「頑張ってね」と優しく微笑み、あっという間に私を置いて行ってしまいました。“ああ、行ってしまった”と思うと同時に、“自分にもできるんだ”と心が奮い立ちます。
自分の腰くらいの高さにあったわずかな窪み。足を乗せられるはずがないと思っていましたが、ここしかないと、足を振り上げて一気に登ります。すると、シューズのつま先が細く作られているので、意外にもしっかりと足を置くことができました。下からガイドさんが「そう、そう!」と声をかけてくれます。ガイドさん、分かっていて私の自主性を尊重してくれていたのですね……。途方もなく時間がかかりましたが、無事に登り切ることができました。降りようとした時、「景色を見てみて」と声をかけられ、初めて振り返ると、絶景が一面に広がっていました。
ロッククライミング体験を通して、体を動かす喜びと、忘れていたワイルドな闘争心を再確認することができました。また、応援し合う文化があるおかげで、コミュニケーションが生まるのも大きな魅力だと思いました。次の日、筋肉痛に見舞われたのは言うまでもありませんが、また機会があれば挑戦したいです。次はいつになるかな……。