〈NZ不動産の最新事情〉「物件価格低迷&銀行金利上昇」で、購入を迷うバイヤー多数だが…不動産のプロ「待たないほうがいい」と考えるワケ
年末となり、ニュージーランドでも不動産の販売が最後の追い込みに入っていますが、例年に比べると勢いがありません。銀行金利は高い一方で物件価格は下がっており、購入者が迷いを感じる要素が多くあります。実情を見ていきます。※本記事は、2023年12月8日現在の情報に基づいて執筆されています。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
2023年最後の月…不動産バイヤーたちの気持ちも揺れ動く
南半球のニュージーランドは12月に入り、ようやく気温も上がって晴れ間も出てくるなど、春から夏へと季節が進んでいることを感じさせます。世間はクリスマスムード一色で、ショッピングセンターもクリスマス商戦で大賑わいです。 私たちのいる不動産業界も、最終セールの真っ只中ですが、例年と比べると静かなことは否めません。しかしながら、オープンホームに来られるのは、質の高いバイヤーの方が多い印象です。ファーストホームバイヤーが主流ではありますが、一方で中年投資家の訪問も多く、そのような方はリターン、つまり「数字」が命です。 オークランドでは、住宅地の空き地や古い家を解体した跡地を活用したタウンハウスの開発が盛んですが、現在はいよいよ完成ラッシュを迎えています。 これらの物件を今年初めに購入された方は、2年前のプラン売りでの販売価格より、10万~15万NZドルほど高い価格で購入したことになります。 しかし、銀行金利上昇の一方で売り値は下がり、11月からはさらに値下げされ、いまが底値。あわよくば、もう少し売り手と交渉することで、より一層の値下げが期待できるかも…という状況です。 売り値が下がっても銀行融資金利が上昇しているいま、それほど投資効率がよいわけではないことから「もう少し購入を待つべきか?」と悩み、年内に購入するか、それとも銀行金利の値下げ情報を待って年明けにするか、迷うバイヤーの心情はよくわかります。 いまが底値であると知っている業界人としては、いま買っておかないと、来年には値上げされるのではないか…と思うのですが、複数在庫があることを考慮し、年が明ければすぐに決算期である3月を迎えるとなると、さらなる値下げと金利の引き下げの両方の恩恵を受けられるのではないか…と予想される賢い投資家の方もいらっしゃいます。まさに、取引の吟味が難しい局面なのです。 セールスマンの身からすると、早く契約書を交わして契約成立へと移っていきたいところですが、躊躇される気持ちもわかるため、「すぐに契約書にサインを…」とは言い出しにくい状況です。 ただ、不動産売買は「こうなるかもしれない」と予測しても、いい方向へと転ぶことはあまりありません。予測に反し、値上げへと進んでしまった場合、先月の販売価格だと手が出たけど、いまはもう予算オーバーで購入できない…という後悔が残ります。それよりも、勇気を出して購入して速やかに収入源を確保し、不動産運営をスタートさせたほうが得策だったというケースが多々あります。 その経験があるからこそ、セールスマンは不動産の買いどきをと聞かれるたび「買いたいと思ったいまがそのときです」と回答することになるのです。
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