[関東]親友・松木玖生の海外移籍も大きな刺激に。苦悩の2年間を過ごしてきた東海大DF丸山大和に漂う「3年目のブレイク」の予感
[8.17 関東大学L1部第12節 流通経済大 1-1 東海大 RKUフットボールフィールド] 【写真】「可愛すぎて悶絶」「金メダル」「新しいジャケ写かと」大物歌手が日本代表ユニ姿を披露 いろいろな意味で注目される存在だということは、自分でも十分に理解している。ただ、それに屈してしまうようなメンタルはもともと持ち合わせていない。積み重ねてきた努力を、蓄え続けてきた力を信じて、このステージでも突き抜けた存在になるため、真摯に日常と向き合っていく。 「結果の部分で、どの試合でもチームを勝たせられるような選手になれるように、もっと個人としてレベルアップしていかないといけないなと考えていますし、もっと存在感のある選手にならないといけないなと思っています」。 高校選手権のスターから、大学ナンバーワンディフェンダーへ。東海大の5番を背負った空中戦無双のエアバトラー。DF丸山大和(3年=青森山田高)は攻守で圧倒的な存在感を纏うべく、常に成長するための材料を探し続けている。 アウェイに乗り込んで行われた、延期分の関東大学1部第12節。流通経済大との一戦は先制を許した前半が終わった段階で雷が鳴り始め、雨も激しくなってきたことで中断を余儀なくされる。ただ、試合中止の可能性もはらみながら、集中力を保つのも難しい状況の中で、丸山はきっちりとメンタルを維持していた。 「身体の負担としては結構キツかったですけど、試合をやるからには意地を張ってでも全力でやるしかないと思っていましたし、こういうことも楽しみながらやることが、自分にとってもプラスになるのかなとは考えていました」。2時間近い中断を経て、再開された後半のピッチにもフルモチベーションで向かっていく。 東海大は後半の立ち上がりからペースを握り、強める攻勢。「後半はほぼハーフコートゲームで試合を運べたかなとは思います」と話した丸山も、得意の空中戦で相手の長いボールを跳ね返し続け、センターバックでコンビを組んだDF井出唯楓(4年=厚木北高)とともにディフェンスラインに安定感をもたらしていく。 1点をリードされたままで突入した90+4分。アウェイチームの4年生が意地を見せる。DF相川陽葵(4年=前橋育英高)のクロスに、FW桑山侃士(4年=東海大高輪台高/町田内定)が競り勝つと、飛び込んだFW伊藤ジョフリー(4年= Honda FC U-18)がプッシュしたボールがゴールネットへ吸い込まれる。 土壇場で追い付いて獲得した勝点1。それでも後半のパフォーマンスは明らかに向上していただけに、チーム全体には消化不良感も漂う。「後半はかなりゴール前にも行けていたので、最後のフィニッシュの精度を上げていったら、もうちょっと試合も勝てていくのかなと思います。今日も勝ち切りたかったですね」と丸山も悔しげに言葉を紡いだ。 青森山田高時代は松木玖生(ギョズテペ/トルコ)や宇野禅斗(清水エスパルス)らとともに高校年代三冠を達成。インターハイでも高校選手権でも決勝で得点を挙げるなど、ゴールも奪えるセンターバックとして大いに名を馳せた丸山だったが、大学入学後の2年は率直に言って思い描いたような時間は過ごせなかった。 「最初は1年目から試合に出るつもりで大学に入ったんですけど、1年目も2年目もケガが多くて、サッカーができない悔しさを味わってきた中で、やっと今年安定して試合に出られるようになってきたので、まずはそこに嬉しい気持ちがありますね。ケガから復帰してもまたすぐケガしてしまったり、ほとんど痛みを抱えながらやっていたので、試合に出られるありがたみを毎試合毎試合噛み締めて、ピッチに立つようにしています」。 ようやく掴み始めているコンスタントな出場機会。試合に出ているからこそ、自身の成長と課題も改めて実感している。「高校の時は下でパスを繋ぐことをそこまで意識してプレーしていなかったので、足元で止めて蹴るところを意識的に練習から取り組んでいくことで、そこも少しは身に付いたかなと思います。でも、まだパスを転がすところで浮いてしまったり、判断のところも悪いので、まだまだ練習を積み重ねていかないといけないなと思います」。 「あとは正直まだそんなに試合自体に勝てていないので、ディフェンスとしてチームを勝たせられる選手になるという意味では、失点を防いだり、自分の武器のヘディングで得点を獲ったりしたいですね。高校の時はアレだけ点を獲っていたこともあって、今の得点数(3得点)には満足していないので、守備の面も攻撃の面ももっとレベルアップしていかなくてはいけないと、ずっと思っています」。目指すは攻守でチームを勝たせられる選手。そのためにもすべてのレベルアップを自分に課している。 高校時代からの親友でもある松木が海外移籍を果たしたことも、丸山には小さくない刺激になっているという。「玖生とはゴハンも行ったり、プライベートでも話したりしていたので、凄く刺激にはなりますね。ずっと仲良くやってきたので、ちょっと日本にいないのは寂しいですけど(笑)、高校時代のチームメイトがああやって活躍するのは嬉しいですよ。高校からずっと僕らの先頭に立ってやっていた選手なので、同年代としてアレだけレベルアップしているのを見ると、自分ももっとできるなとは思います」。 サッカー選手としては、もちろんより高い場所へ到達することを見据えているが、自身の現在地は冷静に見つめている。「現状ではプロの世界のラインにも達していないと思うので、大学生活はあと1年半ありますけど、覚悟を決めて、もっと強い気持ちを持って、日々トレーニングして、しっかり生活して、何が今の自分に一番必要かということを考えながらやっていきたいですね」。 高校時代の活躍もあって、ここまではどうしても“丸山大和”という知名度が先行している印象は否めない。だが、本人にはそれを受け入れて、前へ進む覚悟も備わっている。「逆にそういう形で注目されていられるからこそ、もっと結果を残せば誰よりも注目を浴びられるのかなとも思うので、その部分をマイナスに捉えるのではなくて、プラスに持っていけるような実力をもっと付けないといけないかなと思います」。 「まだ仲間に助けられている部分はあるので、『自分が守る』というところをもっと重点的にトレーニングしつつ、存在感のある選手になっていきたいですし、プロからも興味があるという話は聞くんですけど、それこそ練習に呼ばれてからがそのラインに立つということだと思っていて、自分はまだそこに達していないので、すべてのレベルを上げ続けていくしかないなって。自分を信じて、やり続けるしかないなと思います」。 華のあるプレースタイルは誰でも纏えるわけではない。攻撃でも守備でも、見る者の目を惹くパフォーマンスを披露できる、稀有なセンターバック。3年目の大学生活でいよいよブレイクの予感を漂わせている丸山大和。着々と、確実に、日々成長中。 (取材・文 土屋雅史)