センバツのドラフトA評価は2人
北陸勢初となる敦賀気比の初優勝で幕を閉じた2015年のセンバツ甲子園。2打席連続の満塁アーチを含む大会3本塁打を記録した松本哲幣外野手らのヒーローも生まれたが、ネット裏に陣取っていた各球団のスカウトはドラフト候補のチェックに余念がなかった。THE PAGEでは、元ヤクルトのスカウト部長で古田敦也や宮本慎也らの逸材を発掘してきた片岡宏雄さんに大会を通じて元名スカウトの眼で逸材のチェックをお願いしていた。 「今大会を不作、凶作と言うスカウトもいるかもしれないが、私から見れば豊作でもないが不作でもない。まあ通常のレベルの選手が集まった大会だ。 スカウトがドラフト上位指名の候補として、いわゆるAと評価する選手は、県岐阜商の高橋投手と優勝した敦賀気比の平沼投手の2人くらいだったが、これからどう成長するかを追いかけていくべき、B、Cという評価の投手は何人かいた。また捕手も2人、内野手(特に遊撃手)、外野にも2、3人素材として目につく選手がいた。 別表のリストには入れなかったが、二刀流、東海大菅生の勝俣翔貴投手は、投手としての評価はつけられないが、野球をよく知っている好素材でもあり、野手としてドラフト候補のリストには入ってくるだろう。勝俣選手のようなスタイルのプレーヤーを好む球団は少なくない」 片岡さんがA評価した県岐阜商の高橋は、各球団が1位候補としてマークしている逸材右腕だ。183センチ、76キロのスケールで、ストレートの最速は152キロ。まとまりもあって1回戦、2回戦と18イニングを1失点のピッチングで勝ち進んだが、準々決勝では浦和学院に7回につかまりベスト8で姿を消した。甲子園での最速は、150キロだったが、その浦和学院戦では、終盤に140キロ台しか出せず、「速くなかった」と試合後、浦和学院の打者はコメントしていた。 「制球と球数を減らすことを考えてセットポジションで投げていたが、セットでは打者がタイミングをとりやすい。もっと迫力のある全力投球をみたかった。顔や話しぶりを見ていると、ハートはどうなのかなとも気になった。プロ向きのピッチャーは、もっとふてぶてしいもの。ただ伸びシロはかなりある。間違いなく1位で消える楽しみなピッチャーだ。 優勝投手となった平沼は、昨夏から大きく成長した。プレートさばき、リズム感がいい。体の使いこなしができるようになりスライダーがキレてきた。決勝戦は雨でコンディションは悪かったが、ピンチになっても落ち着いてコントロールしていた。ピッチングのコツを知っている。バッターとしてのパワーもあるがプロでは二刀流ではなく投手だろう」