身内の死後の「名義変更」「解約」に伴う“提出物地獄” 手間を省いてスピードアップを図るには「法定相続情報一覧図」の活用を
マイナンバーとの紐付けで何もしないで解約できる
年金や社会保険などの解約手続きも忘れてはならない。相続専門の税理士で社会保険労務士の佐藤正明氏が指摘する。 「年金を受給している人が亡くなったら『年金受給権者死亡届』を届け出ないと不正受給になる可能性があります。国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内に年金事務所や年金相談センターで解約手続きをするのが原則です」
このとき、手続きを簡易化するのが、マイナンバーとの紐付けだ。 「年金番号とマイナンバーを紐付けていれば死亡届を提出した時点で自動的に受給が止まるので、年金受給権者死亡届を提出する必要はありません」(同前) ただし、年金の未支給分がある場合は『未支給年金請求書』を年金事務所に提出しなくてはならない。 介護保険や健康保険はもっと楽に解約手続きができる。認定ファイナンシャルプランナー(CFP)や終活カウンセラー、シニアライフコンサルタントの資格を持ち、全国的にも珍しい相続専門の行政書士として活動する中田多惠子氏が語る。 「役所のおくやみコーナーを活用すれば、そこで介護保険や後期高齢者医療保険の解約ができます。死後の手続きをワンストップで行なうための行政サービスで、全国で導入が進んでいます。職員がアドバイスしてくれるうえ、相続に関する手続きで必要な書類作成なども手伝ってくれます。おくやみコーナーがない自治体の場合は総合受付で相談すれば、必要な部署をピンポイントで教えてくれます」 おくやみコーナーは予約制で、死亡届を提出した後に利用できるようになる。マイナンバーカードの返還や国民健康保険の葬祭費の申請、高額療養費の支給申請なども行くだけで行なえるのでまずは訪ねたい。 ※週刊ポスト2024年10月18・25日号