ゲリラ豪雨から身を守れ! みんな知らない「カミナリの基礎知識」
――じゃあ、よく車の中は安全だと聞きますが、それは本当でしょうか。 鴨川 車の中も完全に安全だとはいえません。基本的に雷は車の金属の部分に落雷しますが、まれに窓ガラスの部分にも落ちることもあるんです。すると窓に顔や手をつけていると感電する危険があります。ですから、雷が鳴っている間は窓を触らないようにしましょう。 ちなみに、車はタイヤがあるため金属の部分が地面に触れていません。そのため、地面と近い金属の部分からタイヤの脇などを通って地面に放電を起こします。ですから、車のそばにいると危険です。 ――ということは、人間はかなり電気を通しやすいということですか。 鴨川 通しやすいです。雷の立場からすると、空気は絶縁体で金属や人間は導体です。だから、体に金属があると危険だからといって、雷が鳴ると外す人がいますが、そもそも人間の体も雷を通しやすいので、外しても大して安全になるわけではありません。気休め程度です。 ――よく、稲光が見えてから、ゴロゴロという音がするまでの時間が長いと、まだ雷は遠くにいるから安全だと聞きますが本当ですか。 鴨川 思いがけないことが起こったという意味で使う「青天の霹靂」という言葉がありますよね。あれは「晴れた空で突然起こる落雷」のことです。ですから、空が晴れていても雷雲が近くにあれば雷は落ちます。 雷は7、8㎞くらい放電するので、雷雲の端から外に放電すれば、雷雲のない所に落雷する可能性があります。自分のいる場所の上空に雲がなくても、ゴロゴロという雷鳴が聞こえたら鉄筋コンクリートの建物に避難することをオススメします。 ――雷って思っていたよりも怖いですね。でも、外にいて鉄筋コンクリートの建物がないようなときはどうすればいいのでしょうか。 鴨川 この質問は難しいですね(笑)。登山とか海水浴とかがそうだと思うんですが、登山ならどこに山小屋があるかなどを最初から確認しておくことでしょう。そして、少しでも早く山小屋に入ることです。 それから、この時期は常に気象に注意しておくことでしょう。気象庁は「雷ナウキャスト」という雷のリアルタイム予測を出していて、これは降水確率と同じくらいのレベルで雷の予測ができます。 屋外にいるならばそれを見て、ゲリラ豪雨などが近くで発生しているかどうか。発生していたら、どのくらいの時間で自分のいる場所に来るのかなどを確認してください。とにかく情報を得ることが重要です。 最初にも言いましたが、1度の雷雨で5000~1万回くらい雷が落ちることもあります。そのうちの1回でも自分に当たれば大ケガをします。 ゲリラ豪雨などが発生した場合、安全論でいえば軒先などで雨宿りをするよりも、鉄筋コンクリートでできた建物の中に入って、雷雲が過ぎ去るまで待つことが命を救うことにつながります。 * * * ゲリラ豪雨による大雨も怖いが、雷もあなどってはいけない。 取材・文/村上隆保 イラスト/はまちゃん 写真/時事通信社