電気料金が4割上がる!?九州電力“大幅値上げ”のからくりを解説
大手電力会社は長い間、それぞれのエリアで独占企業でした。戦前までは電力会社がたくさんありましたが、終戦後にGHQが入ってきて、戦後復興を効率よく、しかもGHQがコントロールしやすくするために、日本を10のエリアに分けて、各エリアに大きな電力会社を1社だけという形に再編したんです。 そうすることによって、戦争で焼け野原となった国土に発電所から送電線、電柱や鉄塔といった設備を効率よく作れました。ライバル競争がないから、電力会社は心配せずに設備投資ができ、確実に電気料金で投資した分を回収できました。地域独占になったのは、そういう理由です。 もう一つ、総括原価方式といって、かかったコストは全部電気料金で確実に回収できる制度があります。電力会社は民間企業ですが、設備を安心して作れる環境としてこの制度ができました。戦後復興から高度経済成長期の間は「電気があれば、GDPが伸びる」と言われました。常に電気が足りなかったんです。「電気があれば工場が作れる」「電気があれば、家電製品が増やせる」みたいに、電力=国力みたいな感じだったんです。発電所を造れば造るほど、日本経済は伸びるという時代でした。 ところが、高度経済成長も終わって「失われた30年」になってくると、もっと効率よく経営し、競争して電気料金が下がった方が国民のためになるのではないか、という議論が起きました。さらに福島第一原発事故もあって、2016年に電力は自由化されます。今は九州に住んでいても、九州電力以外からでも電気を買えるようになりました。 とはいえ、現状は「規制なき独占」。新規参入できるようになったとはいえ、今でも九州で約8割の家庭が九州電力を使い続けています。電力会社を切り替えるって、契約とか面倒じゃないですか。だから、今も規制料金というものがあって、国が審査をしています。電力会社が値上げを申請するたびに、適正かどうかを国が確認しています。そのチェックを経て、去年6月に規制料金が値上げされました。