猛暑でタンカンに日焼け被害 奄美大島、一部の園地で発生 関係機関が対策呼び掛け
鹿児島県奄美大島では7月に入って22日までに最高気温が35度を超える猛暑日を10回観測するなど、記録的な暑さが続いている。島内の一部タンカン園地では、強い日差しや高い気温などの気象条件に加えて日焼け対策の管理作業不足もあり、実が黄色く変色する被害が発生。被害果は商品価値が著しく落ちることから、関係機関は日焼け防止に向け適切な管理を呼び掛けている。 県大島支庁農政普及課によると、かんきつ類の果実の日焼けは、夏季の高温や強い日射により果皮の表面温度上昇と細胞内の水分蒸散が起こり、果皮細胞が壊死(えし)することで発生する。着葉数が少ない樹は強い日差しを遮ることができず、除草剤の散布などで地表がむき出しの園地は土壌が乾燥し、樹体への水分供給能力が低下するため、被害が発生しやすい。 日焼けした果実は緑色から黄緑色などに変色して堅くなる。外観が悪く、生育不良による品質低下も伴い、著しく商品価値が損なわれることから、摘果するのが一般的な対応という。 同課は毎年、日焼け果対策の講習会を開いており、今年は5月下旬から6月上旬にかけて奄美大島と喜界島で計8回開催した。講習では恒久的対策として▽堆肥、草を生かした土壌表面の保護▽日当たりの良い樹冠上部の重点摘果―。日焼け発生が懸念される場合の対症療法的対策として▽梅雨明け以降毎月1回の炭酸カルシウム剤散布▽葉に隠れた果実を優先した摘果方法―などを指導している。 同課の中実課長は「恒久的対策、対症療法的対策で挙げた管理を講じることで被害は抑えられる。しっかりと取り組んでほしい」と話した。 島内各地の園地を巡回するJAあまみ大島事業本部果樹指導員の大山綱治さんは「管理ができている園地では、経営にダメージを与える日焼け被害はない。暑さは関係ない」と指摘する。日焼け果が発生した場合の対応として「堆肥や草を生かして園地の土壌を乾燥から守ることが大切。日焼け果を摘果することで樹体への負担が軽くなり、次年産への下準備にもなる」と呼び掛けた。