【実録】「そんなに長く取るの?」10ヶ月の育児休業を取得した30代男性社員を退職に追い込んだ、「イクボス宣言企業」の些細な言動とは? 企業は退職を防ぐためにどうすれば良かったのか?
仕事と育児を両立させたいと考える男性は増えています。10ヶ月の育児休業を取得した30代会社員のAさんもその1人でしたが、Aさんは育児休業復帰直後に退職を選択しました。 Aさんの会社は「育児」と「ボス」を組み合わせた用語を用いた「イクボス宣言」もしていましたが、Aさんは育休取得前後にあった会社からのささいな言動から、会社への信頼を完全になくしてしまったそうです。 本記事では、Aさんを退職に追い込んだイクボス宣言企業のささいな言動や対応と、その対応策を紹介します。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できるの?
男性初の長期育児休業だったが……
Aさんは社内の男性では初めての長期育児休業取得者でした。育児休業取得前から会社はイクボス宣言をしており、「仕事と育児の両立支援をしていく」と社長は話していたそうです。 しかしAさんが実際に1年の育児休業取得の希望を伝えると、当時の人事部長から「そんなに長く取るの?」と言われたそうです。 Aさんは「男性社員では初めての取得だから、そういう言葉が出るのも仕方がない」と考えながら、同僚への負担を軽くする策を上司と相談し、出産直後に6週間の育児休業を取得して2ヶ月間、職場復帰した後に再度8ヶ月の育児休業を取得することにしました。
予防接種会社負担OKからNGへの変更
Aさんの会社では、インフルエンザの予防接種が毎年会社負担で受けられる制度があります。育児休業中のAさんにも会社から「通常通り予防接種して構わない」と、会社が負担する旨の連絡が来ていたそうです。子どもがいるAさんは予防接種を受け、会社に精算方法を聞こうとすると会社側の態度は急変しました。 何と「育児休業中の社員には予防接種の会社負担を認めない」と言ってきたのです。 会社側の言い分は「社内での集団感染を防ぐのが予防接種の目的」ということで、育休中の社員はそれに該当しないとのことで、「予防接種しても構わない」と伝えたのは会社側のミスのようでした。 Aさんは、会社の接種費用の負担に関する言い分にも十分な理があると考えました。ただ、「予防接種してもよい」と聞いていたことに加え、従業員数500人程度の会社で数人しかいない育児休業中の社員の予防接種の費用を負担しない会社の姿勢に少しモヤっとしたそうです。
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