<独占告白>ソフトバンク松田。V奪回のための大谷翔平攻略の秘策とは?
松田は、グアム自主トレから、昨年の反省を元に新しい打法に取り組んでいる。カウントや状況に応じて、スタンスを変えて臨む、松田流の<二刀流打法>である。大谷攻略のための挑戦でもある。 ――去年の数字は一昨年から若干落ちました(打率.259、27本、85打点)。自己分析は? 「爆発時期がなかったんです。“クソ打った”というのがなかった。僕は率を追う選手ではなく、昔、秋山幸二前監督に『1か月に5本塁打、15打点をイメージしなさい』と言われてから、その数字を目安にしてきましたが、それを平均でクリアできなかったんです」 ――だから30本100打点が目標数字なんですね。今年は6月が悪かったです。 「交流戦でしょう(打率.222、6本、11打点)。ビジターでまったく打てなかった。甲子園で3試合で藤浪、メッセンジャー、岩貞にノーヒットです(笑)。チャンスは岩貞と思っていましたが打てなかった」 ーー理由は? 「場数を踏んでいない球場だと、試合前練習から、なんとなく感覚的に気持ち悪くて、どこにどう飛ばす、というイメージが見えないんです。パの球場だとしっかりと見えるんですがね。そこを修正しないと」 ーーまた追い込まれたカウント0-2(.088)、1-2(.126)の打率が悪かったです。 「そうなんです。追い込まれると三振が多く、打率も悪い。なんでも振る傾向が強くなっていました。今年は、そこではホームランを捨てて、食らいついていこうと考えで、バッティングスタイルの選択肢を増やそうと考えています」 ーースポーツ紙で見ましたが、スタンスを狭い、広いの二刀流にするんですね? 「ロッテの角中選手を三塁から見ていて、あの追い込まれてからの粘りはなんだろうとヒントを得ました。彼は追い込まれてノーステップ打法に変えますよね? 粘りを生み出しているのは、どっしりとした下半身なんです。ノーステップにはしませんが、イメージとしては、あの角中選手の切り替えです。スタンスは狭くして、移動幅を大きくした方が、おかわり君のようにパワーは出ます。逆にスタンスを広くすれば、移動幅が小さくなりますが、ミート確率は上がりますよね。 アマチュア時代から、よく打撃スタイルはひとつに固めなさいと言われてきましたが、もし、それに失敗したら行き場がなくなります。悪くなったときのことを考えてると、選択肢を広げていた方がいいんです。今春のキャンプではスタンスの広い、狭いで半々くらいの時間を割くつもりでいます」 ーー大谷対策になるかもしれませんね。それにしても33歳にして探究心がやまない。 「まだまだこれから老ける年ではありません。やっと脂が乗ってイメージ通りに体が動くようになってきた」 ーーしかも、今年から熱男でなく新しい雄たけびをするんですよね? 「そう(笑)。1(ワン)ダホー! オープン戦ではやりません。シーズン入ってから。でも、サインには熱男と書き続けますよ。今や僕の座右の銘ですから。でも、こんな33歳っています? アホやなあとも思いますが、何も受けを狙っているわけではありません。新人時代にプロで生きていくためにどうすればいいかを考えたときに、『元気』を自分の長所にしようと思ったんです。だから12年目でも、このスタイルを貫きます。チームのため、個人のために声を出す。僕が静かになるときは引退するときです」 このオフ、松田は「もう一花咲かせるためのモチベーションを上げるために」と、自ら申し出て背番号を「5」から、あの長嶋茂雄氏が現役時代につけていた「3」に変えた。燃える男の象徴とも言える「3」を背 に松田はV奪回の先頭に立つ。週末から母校・亜細亜大の野球寮に入って第二次自主トレに突入する予定だ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)