「無印良品のライバルになる」と言われたダイソーの姉妹チェーン「Standard Products」。おしゃれでサステナブルなブランディング戦略の一方、出店戦略にはズレが…?
出店するテナントの方向性が特に無さそうなのである。 これには、おそらくStandard Productsの中にダイソーとの複合店が多い関係もある。というか、ダイソーとの複合店での展開は、3号店であるマロニエゲート銀座店からはじまっており、おそらく始動時からあった構想なのだろう。 今年の10月にも新宿のビックロ内に大型複合店を展開するという。狙いとしては、ダイソーの客とStandard Productsの客とでの買い周りを促進する意味もあるだろう。
しかし、気になるのは、先ほども書いた通り、Standard Productsは明確な「世界観」を持っていることだ。それは店内のあり方だけでなく、出店立地などにも影響されるだろう。「~~な場所にはStandard Productsあるよね」となる状態が、Standard Productsのブランディングにとっては望ましいのではないか。 一方、ダイソーの場合はどこまでも「実利」をとっていくから、入れるところにはどんどんと入っていく。もともとが、百貨店の催事場を借りて営業していた歴史もある通り、少しのスペースでも貪欲に出店を伸ばしていく。ダイソーの出店戦略には「世界観」は関係なく、とにかく売ることができる場所、そしてある程度人が来る場所であればよいのである。
実は、ダイソーの方向性とStandard Productsの方向性は、本来、出店立地において相反するところがあると思うのだが、それが複合店によって一緒になっている。そこにStandard Productsの難しさがあると思うのだ。 ■「ブランド」を確立した無印良品 この点、Standard Productsと比較されやすい無印良品はどうだろうか。 その出店は1号店の青山に始まり、西武百貨店を中心に進められた。ある程度、都市部のハイソな店として数年間はそのイメージ戦略を形作っていった。