トランプ政権でESG投資ブームが“終了”か…証券会社営業マンのセールストークに使いまわされた末路
ESGを持ち出すと証券会社の営業マンも話が弾む
国連のアナン事務総長(当時)の主導で、資本市場にESGの考え方が提唱されたのが2006年。日本では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が支持を表明した年から、ESGが急速に広がり始めた。 多くは商品名に「ESG」を関した投資信託に関してであり、運用の中身は形式的な環境格付けなどに基づくものだった。折々の流行テーマに沿って投信が乱造される日本では、ESGも証券会社のセールストークとして使い回しされてしまった。 「ESGを持ち出すと証券会社の営業マンも話が弾みます」。筆者は数年前、こんなセリフを大手証券会社系資産運用会社のトップから聞いたことがある。1980年代のバブル期から連綿と続く「テーマ投信」の発想から一歩も抜け出ていない。何とも残念に思った記憶がある。 しかし、トランプ大統領の登場もあって、旧来型のESG投資の時代はさすがにもう終わりだ。それでもなお、環境・人権ファクターを投資や企業評価に生かす流れは世界各地で確実に太くなっていく。アメリカばかり見ていてはダメだ。