新聞店主、配達も取材も 地域密着のミニコミ誌25年で休刊 「皆さんのおかげで続けられた」と感謝
【那覇】 沖縄タイムス泊2丁目販売店主の与那和枝さん(73)が手がけ、毎月1日に発行してきたミニコミ誌「たんか~まんか~」が今月の300号をもって終了した。創刊から約25年、新聞販売の傍ら取材のためスクーターで奔走し、地域情報を発信。カメラは4台買い替えた。「地域のみんなで作り上げたミニコミ誌。多くの関係者の協力に感謝したい」と誌面を手に笑顔を見せた。(社会部・城間陽介) 【写真】かつお節香る市場に 八百屋の3代目が支援募る 「昼の市場のにぎわい取り戻す」 沖縄・那覇市 「たんか~まんか~」は向こう三軒両隣の意味。1999年1月1日の創刊以来、一度も休まず発行を続けた。配布先は泊2丁目、おもろまち2丁目、上之屋1丁目が主で発行部数は約600部。創刊号には新聞配達員の紹介や地域行事の告知の他、「まずは隣近所を知ってもらおう」と裏面に世帯名が入った泊2丁目の住宅地図を掲載した。 誌面構成は泊小や地域行事、店舗紹介、与那さんが依頼した人による寄稿など「地域ド密着」の内容。レイアウトは近所の人が担い、行事活動の情報は泊小、地域団体「とまり会」などが提供した。発刊当初、カメラとペンを手に地域を奔走する与那さんは周囲から「子どもの行事よりミニコミ誌の取材か」と突っ込まれたこともある。 それほどまでにやりがいを感じてきたのは「人の苦労やひたむきな姿を誰かに伝え、労をねぎらいたいから」だ。ひとり親家庭で育った若者が小中高と皆勤賞で勉強し、米国留学を実現した際には本人に寄稿してもらった。誌面を見た親族の喜ぶ姿を見て「やって良かった」と心から思えた。 新聞販売店主歴42年、ミニコミ誌編集歴25年で培った情報収集能力は記者顔負けの腕前。「書く題材はいくらでもある。新聞の集金で400世帯ぐらい回るでしょ。会話の中から書けそうなネタがひらめくの」。ただ昨今は情報提供や掲載も難しくなり、休刊を決めた。 愛読者で泊2丁目に住む仲嶺貞夫さん(84)は「地域を明るくし、住民同士を結び付けてくれた彼女の働きぶりは素晴らしかった」とたたえた。