鬼村の鬼岩の頂上へ登るウオーキングの参加者＝島根県大田市大屋町

　島根県大田市の日本遺産構成文化財の一つで同市大屋町にある巨岩「鬼村の鬼岩」を巡る１０キロのウオーキングイベントが２９日にあった。県内外から訪れた１９人が秋晴れのもと、かつての鉱物の搬出ルートをたどりながら地域の文化や自然に触れ、長い年月をかけて形作られた鬼岩の自然美を楽しんだ。 【パワースポット】鬼岩に鬼の石像出現　認知度アップへ住民設置「大田の新パワースポットに」

　観光による地域づくりに取り組む組織「大田市ＤＭＯ」が、地域資源の活用を目的に企画した。鬼岩は海底火山の噴火でできた凝灰岩で、約１５メートルの高さがあり、岩に含まれる塩類によって風化し、大小のくぼみがあるのが特徴。側面に開いた五つの穴は、鬼がつかんだ指の跡との伝説が残る。日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史」の構成文化財で、県の天然記念物指定も受けている。 　鬼岩がある鬼村地区はかつて石こうの産地として栄え、ＪＲ静間駅（大田市静間町）から鉄路で各地に移出した歴史があり、参加者は静間駅から鬼岩まで当時の搬出ルートをさかのぼりながら歩いた。 　途中には彼岸花や稲はでの景色が広がり、到着した鬼岩では自然の迫力に圧倒されながら、登頂した。地元住民による手作りブルーベリージュースのもてなしもあり、舌鼓を打った。 　参加した出雲市斐川町直江の高校教員水津友宏さん（４８）は「ウオーキングを楽しみながら解説を聞けた。鬼岩はすごい存在感があった」と話した。