"富裕層向け家庭教師"は見た…「将来の夢は?」と聞かれたセレブ小2生が返した"育ちの良すぎる回答"
“育ちの良い子ども”にはどんな特徴があるのか。都内にある“セレブ向け個人塾”には芸能人や経営者の子どもが通っており、元講師や元生徒によると彼らには特有の雰囲気があるという。ライターの黒島暁生さんがリポートする――。 【写真】ドラマ好きのセレブ小学生が答えた、映画監督でも俳優でもない“育ちの良すぎる”回答とは… ■学力向上だけを求めない“セレブ向け個人塾” 良い大学へ進学すれば良い人生が保証されているわけではない。誰もが理解していながら、なにかに導かれるように学歴を求める。実績のある塾の、教え方の上手な講師のところへ――親としてごく自然な感情だろう。 世の中には、入塾する生徒の学校を選ぶ塾がある。有名なところでは、東大進学実績に定評のある「鉄緑会」の指定校制度。指定されている高校は、いずれも偏差値表の上澄みだ。 だが今回紹介するのは、そうした偏差値の高低には一切とらわれず、ごく一部の学校からの入塾のみで成り立つ“セレブ向け”個人塾。まったく目立たず、それでいて確実に対象のニーズを掴む知られざる塾の実態に迫る。 学生時代、筆者にも多少の塾講師・家庭教師経験がある。言うまでもないが、塾も家庭教師も学力を伸ばすことが前提にあり、保護者はより高みを目指して子どもを託す。やや断定的にすぎるとしても、保護者からの期待は学力向上の一点にあるといって過言ではない。 近年、問題視されている教育虐待などの場合も、成果を過剰に追い求めたゆえの悲劇であり、ある意味では典型的な保護者の願望を如実に表している。 だが、筆者が話を聞いた諸角正幹氏(仮名)は、塾・家庭教師にとっての「普通」がそうなっていることを認めつつ、一部の領域においては必ずしも学力だけを求めるものではないと言い切る。
■“お坊ちゃん学校”の生徒だけを相手にする 【事例① セレブ向け学習塾の講師】 諸角氏は現在、大手企業に勤務しているものの、大学・大学院生時代に一風変わった学習塾と家庭教師の派遣を行う会社に勤務していたという。そこは、彼の言葉を借りれば「セレブだけを相手にする寺子屋みたいなもの」。本稿ではその高級寺子屋を“X”と呼ぶ。 「Xが鉄緑会のような指定校制度を採用していたのかわかりませんが、少なくとも私の在職中は、いわゆる“お受験”でたどり着く都内のセレブ校に通う生徒以外は見たことがありませんでした。いずれも、有名人・著名人の子どもがたくさん通う学校です」 諸角氏が列挙した学校はいずれも、小学校から大学までを備えていて、たびたび週刊誌などでも取り上げられる「お坊ちゃん学校、お嬢さん学校」だ。Xの授業形態は少し変わっている。 「都内にあるマンションの一室がXの事務所でした。通常、Xの生徒はそれぞれ講師を家庭教師として自宅に呼んでいますが、授業のない日は事務所に来て自習をするもよし、事務所にいる講師に勉強を教えてもらうもよし、というような雰囲気でした。 極めて自由な雰囲気で、基本的にこの生徒にこの先生という割り当てはあるものの、どの先生に誰が習っていてもOKという方針でした。そのため、講師もさまざまな生徒と話をする機会があり、学校の雰囲気もよくわかりましたね」 ■とにかく“目立たない子ども”が多い 生徒は全員、セレブ家庭に生まれたセレブジュニアたち。規格外の出来事も多かったのではないか。 「たとえば家庭教師として伺うために自宅の住所を聞いたら『○○駅を降りるとすぐ大きな桜の木があるのですが、そこが自宅です』とか『おじいちゃんにプライベートジェットで××に連れて行ってもらった』など、生徒が話すエピソードのスケールが大きすぎて驚くことは多々ありましたが、それも次第に慣れました。 むしろ驚くのは、彼らはおしなべて、自身の育ちの良さを鼻にかけることがなく、身なりも派手な子が皆無で、顔を知らない講師にも『こんにちは』と必ず挨拶をすることです。普通に印象の良い子たちだし、なんというか、目立たないんですよね。ひっそりしているという表現がしっくりきます」 決して悪目立ちすることなく、順応していくセレブジュニアたち。だが諸角氏は授業をしていくなかで、もうひとつの特徴を見つけたと話す。 「生徒同士の会話を聞いていると、男女問わず、基本的に褒め合う文化があります。『あいつはこんないいところがある』という共通認識が会話のベースにあって、けなす、貶める言葉を聞いた記憶がありません。もちろん、僻(ひが)みもなし。もっとも、僻む対象がいないのかもしれませんが」