APEC最大の関心事はトランプ氏復帰-ダイモン氏は様子見提唱
(ブルームバーグ): 14日にペルーで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会議では、ドナルド・トランプ氏のホワイトハウスへの復帰と、同氏が世界の経済、政治、ビジネス環境をどのように変化させるかが最大の関心事だった。
しかし、リマでの2日間の会議の最初の数時間、スピーカーたちはトランプ氏の名前を口にするのをためらっていた。
ベトナムのクオン国家主席は基調講演で「孤立主義、保護主義、貿易戦争は不況、紛争、貧困につながるだけだ」と警告したが、次期米大統領の名前は口にしなかった。
しかし、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の公共政策大学院学部長、アンドレス・ベラスコ教授は、次期米大統領の名前を挙げることをためらわなかった。
同氏は、トランプ氏の大統領当選は環太平洋、東アジア、中南米の国々にとって「あまり良いニュースではない」と述べた。各国は間もなく米国と中国、どちらかを選択しなければならない立場に置かれる可能性があると警告した。
続いて、ジェイミー・ダイモン氏が登壇した。JPモルガン・チェース最高経営責任者(CEO)のダイモン氏は、トランプ氏が輸入品に広範囲にわたる関税を課すという脅しを実行に移す可能性について、APEC参加者が評価するためのヒントを提供した。
「著書を読もう」とダイモン氏は述べた。恐らくトランプ氏の著書『The Art of the Deal(取引の技術)』を指したもので、トランプ氏が同著で唱えた戦略が「賢明に行われることを祈る」と語った。
ダイモン氏は、もしトランプ氏が選挙キャンペーン中に掲げていた中国に対して60%以上、その他の国々に対して10-20%の関税を課すという公約を実行に移した場合、少なくとも「人々を交渉のテーブルにつかせる」ことにはなると述べた。
トランプ氏は株式市場のネガティブな反応を避けたいはずだと付け加えた。
ダイモン氏を政権に招くつもりはないとのトランプ氏の発言には、「私は25年間も上司を持ったことがなく、今さら持ちたいとも思わない」と受け流した。