APEC最大の関心事はトランプ氏復帰-ダイモン氏は様子見提唱
トランプ氏の選挙公約がもたらす潜在的な影響について、臆測が飛び交うのを止めることはできない。広範囲にわたる関税を課すという同氏の政策は、グローバルなサプライチェーンを混乱させ、中南米や世界の経済を揺るがすリスクがある。
また、貿易と関税に関する同氏の姿勢は、中国と深い経済的つながりを持つブラジル、ペルー、メキシコなどの国々に間違いなく影響を与えるだろう。さらに、トランプ氏は米国の石油とガスの生産量を増やすと公言しているが、これは気候変動への取り組みを損なうものだと批判されている。
ダイモン氏は、トランプ氏は「貿易に反対しているわけではない。多くの事柄が米国に対して不公平だと考えているのであり、その通りである例もある」と語った。「もし何かが不公平であるなら、それを修正すべきだ。また、もしわれわれが他国を犠牲にして自分たちを強くし始めたら、報復があるだろう」と語った。
バイデン政権の米通商代表部(USTR)代表のキャサリン・タイ氏はブルームバーグとのインタビューで、中国から米国に自動車、クリーンエネルギー、半導体などの輸入品が大量に押し寄せるのを防ぐには、的を絞った関税の使用が必要だとの考えを示した。
タイ氏は中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟した後に生じた経済・社会的な混乱に言及し、「経済問題として、政治問題として、社会問題として、米国で誰が政権を握ろうとも、『チャイナショック2.0』には耐えられないだろう」と述べた。
ただ、トランプ氏が提案しているような一律関税の使用には警告を発した。「関税は解決策の一部だ」が、「ただ課税するだけでは効果はない」と語った。タイ氏はトランプ氏を直接名指しすることはしなかった。
APECイベントの期間中、会場の廊下や会議室、ホテルのバーなどでは、次期米政権に対する懸念が漏れ聞こえていた。
LSEのベラスコ氏はそれを代弁し「われわれが米国主導でより保護主義的な世界へと向かっていることは間違いない」と悲観的な見方を示した。